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【EU】EU理事会と欧州議会、Fガスの段階的廃止で政治的合意。今後立法審議へ

 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は10月5日、フッ素系温室効果ガス(Fガス)の段階的廃止を規定したFガス規則改正案で、政治的合意に達した。Fガスは、気候変動とオゾン層破壊の双方の悪影響を及ぼす物質。欧州委員会が4月に改正を提案していた。今後、双方での立法審議に入る。

【参考】【EU】欧州委、工場と畜産農場の汚染物質削減強化でEU指令改正案発表。Fガス規則改正案も(2022年4月11日)

 Fガスは、冷蔵庫、空調、医薬品等、多様な日用品に使用されている。また、ヒートポンプや電力システムの開閉装置にも使用されている。オゾン層破壊物質は、かつては、クロロフルオロカーボン(CFC)やハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)が主流だったが、モントリオール議定書で段階的廃止が国際的に決まり、ハイドロフルオロカーボン(HFC)への切替が始まった。しかし、HFCには温室効果があることがわかり、モントリオール議定書キガリ改正で、HFCについても段階的廃止が決まった。

【参考】【環境】オゾン層保護のモントリオール議定書「キガリ改正」〜代替フロンからノンフロンへ〜(2016年12月31日)

 今回の合意では、欧州委員会が、原料としての使用を禁止するオゾン層破壊物質のリストを定期的に改訂する任務を負い、代替原料の利用可能性の評価は、モントリオール議定書に基づき、主に国際レベルで行われることで一致。但し、セーフガードとして、国際専門家パネルが一定の期間内に結論を出せなかった場合には、欧州委員会が実行可能な代替品の評価を行うとした。

 HFCの消費は2050年までに完全に廃止。HFCの生産は、欧州委員会が割り当てた生産権に基づき、2036年までに15%以上段階的に削減する。欧州委員会の提案との比較では、最初の2期間の割当量を引上げた。半導体分野は割当量から除外した。消費の完全廃止の実現可能性については、2040年にレビューする。

 最終製品レベルでは、HFCを含む家庭用冷蔵庫、冷凍設備、発泡スチロール、エアゾール等の製品および機器の上市を全面的に禁止していく。また、GWPの低い他のFガスについても禁止措置を拡大する道も用意する。安全性に懸念がある場合は、禁止措置の適用除外が設けられるようにもする。電気・電子機器のカテゴリーに該当する製品・機器に含まれるFガスは、2028年1月1日からの強制的な拡大生産者責任(EPR)制度の対象とする。

 ヒートポンプでは、2027年から地球温暖化係数(GWP)150以上のFガスを12kW未満の小型の一体型ヒートポンプとエアコンを全面的に禁止。2032年まで12kW以上のものも完全段階的に廃止する。Fガスを含むスプリット空調及びヒートポンプは、2035年から全面禁止するが、GWPの高い特定のタイプのスプリットシステムは期限を早める。但し、安全要件を満たすために必要な場合は例外となる。

 Fガスに依存する中圧スイッチギアは、2030年までに段階的に禁止。高圧スイッチギアも2032年までに禁止する。また、Fガスを使用しない代替品の入札プロセスに応じて、禁止措置の適用除外を認めるカスケード原則を導入する。カスケード原則の下での最後の手段として、高圧開閉装置が非常に強力な温室効果ガスであるSF6を使用する可能性を考慮し、多くのセーフガード措置も検討する。

 既存の機器の修理・点検でも、2025年以降、GWPの高いFガスを使用する冷凍機器の修理機器は、そのガスが再生またはリサイクルされない限り禁止される。空調及びヒートポンプ機器の整備についても同様の禁止措置を2026年までに導入。再生ガスやリサイクルガスについては2032年まで適用除外となる。製品を-50℃以下に冷却するための定置式冷凍装置については、GWPの低いFガスを使用することを2032年に禁止する。

 HFC生産に関しては、2030年以降も上市に関する自由割当制度を延長・強化し、HFの生産に関する新たな割当制度を導入する。HFCの生産割当価格は3ユーロとし、インフレ調整も考慮する。収入の一部は、Fガス規則の実施にかかる管理費に充てられ、残りはEUの一般予算に充てられる。

 違反時の罰則は、罰金、製品の没収、公的調達からの一時的な排除、一時的な取引禁止等を盛り込む。

【参照ページ】Fluorinated gases and ozone-depleting substances: Council and Parliament reach agreement

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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