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【国際】パリ協定6.4条メカニズムの詳細ルール調整が大詰め。苦情処理やCDR評価手法で進展

 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局は9月10日から14日まで、パリ協定6.4条に基づく国のカーボンクレジット活用制度「6.4条メカニズム」に関する最終ルールの調整案をまとめた。9月28日までパブリックコメントを募集する。

 6.4条メカニズムは、京都議定書の「京都メカニズム」の後続としてルール化されているカーボンクレジット制度。パリ協定で各国政府が掲げた国別削減目標(NDC)の達成で活用できるクレジット活用制度として用意された。

 6.4条メカニズムに基づきクレジットを創出するプロジェクトは、2021年1月1日以降、同メカニズムを監督する「6.4条監督機関」の承認を受け、6.4条メカニズム登録簿に正式に記載する流れとなっている。登録されたカーボンクレジット(ER)は、プロジェクト実施国の承認を得て、国際移転が可能となり、NDCの達成や、他の国際緩和目的(OIMP)のために使用することができる。

 6.4条メカニズムのルールの大原則は、2021年の第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)で合意に到達。但し、京都メカニズム創出されたクレジットの移管方法や、登録簿の開発要件、クレジット創出の最低要件、排出回避(削減系)クレジットの扱い等については詳細ルール設計が必要となり、2022年の国連気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)で概ね合意に達した。ただ依然として、排出回避クレジットの扱いと、ホスト国と6.4条監督機関の追加責任の2つに関しては、残課題となっている。

【参考】【国際】COP26、パリ協定第6条ルールが最終決着。カーボンクレジット二重計上厳禁。非課税扱い(2021年11月15日)

 6.4条監督機関は、2024年1月からルール稼働を始めることにしているため、2023年の国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)期間中に開催される第5回パリ協定締約国会議(CMA5)での決着向け、急ピッチで最終作業が進められている。今回開催された6.4条監督機関の第7回会合では、残課題を決着させる重要な文書枠組みで合意した。

 まず1つ目は、6.4条メカニズムでの全てのカーボンクレジットの創出に社会・環境セーフガード基準評価ルール「持続可能な開発ツール」の中身。今回草案を議論し、10月に開催される第8回会合で最終化。その後、パブリックコメントを募集する。

 苦情処理メカニズムについても、UNFCCC事務局が第8回会合に草案を持ち込むことで合意。制度の過剰利用リスクを最小化するため、上訴または苦情を提出できるステークホルダーの要件を重点的に検討する。こちらも、第8回会合で最終化し、その後パブリックコメントを募集する。

 さらに二酸化炭素除去(CDR)に関する評価・報告手法についても、今回最終化作業が大きく進展し、第8回会合で着地できる見通しとなった。除去後のリーケージ(漏出)やベースライン設定等でもテクニカルな調整が概ね終わった。さらに、6.4条メカニズムの方法論を開発する際には、後発開発途上国(LDCs)及び小島嶼開発途上国(SIDS)の特殊事情をケースバイケースで対応することでも合意した。

 一方、残課題となっている排出回避クレジットの扱いと、ホスト国と6.4条監督機関の追加責任の2つに関しては、科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)で議論が進んでいる。SBSTAは、6.4条メカニズムに排出回避(削減系)クレジットも認める方向で調整。CMA5で大方針として決定したい考え。ホスト国と6.4条監督機関の追加責任は、2024年のCOP29で固める計画となっている。これで残課題が全て片付く予定。

【参照ページ】Public consultations launched by UN body tasked with setting up a regulatory framework on carbon markets

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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