機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は9月20日、食品・農業世界大手79社のリジェネラティブ農業コミットメントに関する分析レポートを発行した。
同レポートは、世界の二酸化炭素排出量の3分の1が食料・農業サプライチェーンから発生しており、生物多様性喪失の主要因の一つであることが理解されるにつれ、大企業の間でリジェネラティブ農業への関心が高まっていると認識。但し、リジェネラティブ農業の定義では、二酸化炭素排出量削減、炭素隔離・除去、気候変動レジリエンス、土壌健全性、生物多様性改善、水消費効率改善等に重点が置かれていると解釈されながも、普遍的な定義はないとも指摘した。
さらに、企業アクションとしては、企業の意欲度、理想とする農業慣行、コミットメント・レベル、KPI等に関し、透明性が欠けており、機関投資家にとって企業を評価することが難しいと伝えた。
そこで今回FAIRRは、時価総額50億米ドル(約7,400億円)を超える食品・農業世界大手79社を分析対象に選定。時価総額の総額3兆米ドル(約440兆円)の企業に対し、共通尺度で横比較での分析を実施した。
FAIRRは今回の分析手法を開発するにあたり、企業がリジェネラティブ農業を普及させていく上での課題として、リジェネラティブ農業で得られる効果の確立、情報における信頼性確保、インパクト測定、農家のトランジション支援の4つを掲げた。それに基づき、評価指標として、「アウトカム」「目標」「戦略」「パイロット・イニシアチブ」「データ収集・トラッキング」の5つの観点から、合計32の項目を設定した。
分析の結果、79社のうち50社が、開示書類の中でリジェネラティブ農業に言及。そのうちリジェネラティブ農業の定量目標を設定している企業は18社だった。データや指標を説明している企業は8社にとどまり、進捗測定のためのベースラインを設定していることが確認できたのは4社のみだった。同様に、農家への資金支援目標を設定している企業も4社だった。
同レポートでは、リジェネラティブ農業をリードするイニシアチブとして「Regen10」を紹介。他にも総40ページのレポートには、今回の分析から得られた情報が密度高く記載されている。
79社の個別企業データは、FAIRR加盟機関のみがアクセスできる。
【参照ページ】The Four Labours of Regenerative Agriculture
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