国連責任投資原則(PRI)は9月14日、プライベートデットのアセットクラスで、ダイレクト・レンディングに関するESG金融ガイドを発行した。債券投資家に対し、ダイレクト・レンディングでも行動を促す。
プライベートデット市場は、過去10年間に年平均成長率(CAGR)13%の急成長を遂げ、2022年の市場規模は1.4兆米ドルにまで到達。今後も伸長するとの予測されている。同時に、プライベートデットでのESG金融に関する機運は高まっており、LPの42%はGPに対してESG情報開示を必須化し、31%は情報開示の頻度を上げるよう要求したとの調査結果もある。
PRIは今回、プライベートデットでのESG金融機運が高まっている背景として、マテリアリティの認識、法規制、クライアント需要、インパクト追求需要の4つを挙げた。とりわけ、クライアント需要と法規制の2つが大きいという。
同ガイドは、プライベートデットの中でもダイレクト・レンディングに対象を絞り、先進企業へのインタービューを通じて、実践事例を抽出し、ナレッジをまとめたもの。「データ」「エンゲージメントとサステナビリティ・リンク・ローン」「プライベートレンダーとプライベートエクイティの協働」「気候関連リスクと目標」の4つについて、現状と推奨手法をまとめた。
データについては、ESG要素とデューデリジェンスに統合する慣行を普及しつつあるとしながら、引き続きデータ取得が課題と認識。すでにデータ収集を行っている債券投資家では、インハウスでデータ収集できる体制を構築しており、業界テンプレート等も活用していると伝えた。
また、同ガイドが最も重点を置いたのは「エンゲージメントとサステナビリティ・リンク・ローン」の章。ダイレクト・レンディングでのESG金融実践では、エンゲージメントが肝になりとし、融資先にインセンティブをつけるためにサステナビリティ・リンク・ローンが有効と位置づけた。
「プライベートレンダーとプライベートエクイティの協働」では、融資先企業の情報開示を促す上でも、他のレンダーやプライベートエクイティ側との協働が有効と提唱した。
「気候関連リスクと目標」では、先行して実践している債券投資家の状況として、すでに気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)フレームワークが活用され始めていることを紹介した。
【参照ページ】New PRI report outlines progress on responsible investment practices in private debt and direct lending
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