米国務省と米財務省は9月14日、ウクライナ戦争でロシアへの追加経済制裁を発動した。150以上の個人・団体に制裁対象に指定した。大統領令14024号に基づく措置。
今回の追加制裁で、国務省はまず、ロシアのエネルギー生産・輸出能力の拡大、ロシアの金属・鉱業事業、国際制裁を回避するロシアの個人・団体を支援することに関与している70以上の団体・個人に制裁を科す。
同制裁では、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と三井物産の合弁会社Japan Arctic LNGが参画する天然ガスの開発・液化事業プロジェクト「Arctic LNG 2」の関連企業も制裁対象となった。対象は、建設会社JSC EenrgiesとArctic Energies、エンジニアリング会社Nova Energies、造船Arctic Transshipment。さらに、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビに本社のあるエンジニアリング会社Green Energy Solutions Porjectも同プロジェクトに関与したことで制裁対象となった。
Arctic LNG 2プロジェクトは、ロシアのギダン半島上に賦存している巨大なウトレニエガス・コンデンセート田を採掘し、現地で液化天然ガス(LNG)に生産した上で輸出するプロジェクト。LNG生産能力は年間1,980万tを予定している。権益保有比率は、ロシアのノヴァテクが60%、トタル、中国石油天然気集団(CNPC)、中国海洋石油集団(CNOOC)、Japan Arctic LNGが各10%ずつを保有。Japan Arctic LNGの株式は、JOGMECが75%、三井物産が25%が保有。JOGMECは、三井物産が手掛けたプロジェクトに出資参画する形で加わっており、2019年6月に出資で約2,900億円、債務保証で450億円を提供。さらに2019年8月には日本貿易保険(NEXI)が、三井物産の権益分に係る部分の非常リスクを填補することを決定しており、三井物産は実質的な政治リスクなしで同プロジェクトを手掛けている。すなわち、経済産業省の国策プロジェクトとして、税金が全てのリスクを賄う形となっている。
国務省はさらに、ロシア連邦保安庁(FSB)がロシアの利益のためにジョージアの社会と政治に影響を与えるために活用したロシア情報局員1人とジョージア系ロシア人のオリガルヒ1人を制裁対象に指定。ロシア軍がウクライナの都市や民間インフラに対して使用したカリブル巡航ミサイルを含む、ロシアの兵器システムを製造・修理する多数の企業や、北朝鮮からロシア連邦への軍需品出荷に関与したワグネル・グループに属する個人も制裁対象に指定した。
財務省は別途、中央アフリカでロシアの「悪質な活動」を助長したとして、ワグネル・グループの関係者1人を含むロシアのエリートやその産業基盤、金融機関、技術サプライヤー合計100以上の個人・団体に制裁を科した。米連邦政府は、ワグネル・グループが7月30日、中央アフリカで民主主義を弱体化させる新憲法の国民投票の成立に加担したとみている。
【参照ページ】Imposing Further Sanctions in Response to Russia’s Illegal War Against Ukraine
【参照ページ】Imposing Further Sanctions in Response to Russia’s Illegal War Against Ukraine
【参照ページ】Arctic LNG 2 プロジェクトへの参画
【参照ページ】ロシア連邦/Arctic LNG2プロジェクト(海外投資保険の引受)
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