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【国際】国連、気候変動と他のSDGsのシナジー分析レポート発行。プラス影響がマイナスを凌駕

 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局と国連経済社会局(UN DESA)は9月13日、気候変動と持続可能な開発との相乗効果に関するレポートを発表した。合同創設した「気候・SDGシナジー専門家グループ」がまとめた。本格的なシナジーレポートの発行は今回が初。

 今回のレポートは、気候変動対策が経済成長や社会発展を阻害するという見方に対する反論として作成された。報告書の結論としては、気候変動対策が国連持続可能な開発目標(SDGs)の各ゴールに与える影響は、プラスの影響がマイナスの影響を遥かに上回っており、さらにマイナスの影響を先んじて考慮することで、全体の影響をさらに引き上げることができると伝えた。経済成長や社会発展を阻害するという見方する人に対しては、「知見不足」と一蹴した。


(出所)UN

 分析の結果、先進国ではエネルギー分野、発展途上国では土地利用の分野に大きなシナジーの源泉があることがみえてきた。特に、SDGsと気候変動対策のシナジーは後発発展途上国で大きく、同地域の資金ギャップを埋めることは、多くのプラスの効果が生まれることがわかった。

 気候変動対策を他のゴールとのシナジーを意識して考えることは、各国の国別削減目標(NDC)、長期低炭素開発戦略(LT-LED)、国家適応計画(NAP)等の中で考慮され始めているが、極めて進捗が遅いと述べた。政府が抱える原因の一つとして「政策が短視眼」も挙げた。先進事例としてはケニアとメキシコを挙げた。

 シナジーの追求を阻んでいる要因としては、統合的な政策アクションの欠如、資金不足、気候政策と開発政策を別々のサイロに置く制度的硬直性、トップダウンの政策決定の優位性、データと指標の一般的不足、相乗効果の価値とそれを特定し実施する能力についての理解不足等を挙げた。

 対策としては、国家レベルで省庁や部門を超えた制度的な調整と政策の一貫性を高めることが重要とした。また、ジャスト・トランジション(公正な移行)の検討も進め、包括的な絵を描くためのキャパシティビルディングも進めるべきとした。

 UNFCCC事務局とUN DESAは、2024年にバージョンアップした報告書を発表する予定。

【参照ページ】Governments must seek win-win synergies by tackling climate and sustainable development crises together, urges expert group report

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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