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【国際】米政府、「インド・中東・欧州経済回廊」と「ロビト回廊」に向け旗揚げ。中国に対抗

 米ジョー・バイデン大統領とインドのナレンドラ・モディ首相は9月9日、米国が掲げる「世界インフラ投資パートナーシップ(PGII)」での関係国会合を開催した。米国、インドの他、EU、フランス、ドイツ、イタリア、日本、モーリシャス、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、世界銀行が出席した。

 世界インフラ投資パートナーシップ(PGII)は、2022年6月のG7エルマウ・サミットで米国が主導し発足。中国の一帯一路政策に対抗するため、G7全体で2027年までに民間資金を含め6,000億米ドルを発展途上国のインフラ投資支援に回すことを目標として掲げ、そのうち米国が2,000億米ドルを拠出するというもの。

【参考】【国際】G7サミット、「世界インフラ投資パートナーシップ(PGII)」発足表明。気候変動やジェンダー平等(2022年6月27日)

 今回の会合では、主要経済回廊の開発が大きなテーマとなった。具体的には「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」と「ロビト回廊」の2つが取り上げられた。

 インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)は、今回提唱された新たなプロジェクト構想で、完成すると、インドから中東を経由し南欧を結ぶ巨大な経済回廊となる。発表によると、インド西部の港から、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ港までを航路でわたり、そこからアラビア半島をサウジアラビアのリヤドを経由しながら鉄道路線で横断し、ヨルダン、そしてイスラエルのハイファ港までを陸路で移動。ハイファ港からは再び航路で、地中海をわたり、イタリア南部や南フランスへと結ぶ。

 一方、中国の一帯一路政策では、陸路では中央アジアからイランを横断し、ロシア、そして東欧へと結ぶ「陸のシルクロード」と、東南アジアの港を経由し、スリランカのコロンボ港から、ケニアのナイロビ港、紅海、スエズ運河を超えて地中海へと抜ける「海のシルクロード」の2つを実現させようとしている。米国が主導する「インド・中東・欧州経済回廊」は、「陸のシルクロード」と「海のシルクロード」の真ん中を行く回廊を計画する形となり、最短コースを狙っているとみられる。

 インド・中東・欧州経済回廊の建設では、9月9日に、米国、インド、EU、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イタリア、フランス、ドイツの各政府が覚書(MOU)を締結した。インドとペルシャ湾を結ぶ回廊を「東回廊」、ペルシャ湾と欧州を結ぶ回廊を「西回廊」と呼称した。鉄道路線とすることで二酸化炭素排出量を抑えながら、湾岸諸国からの水素輸出にもつなげる考え。さらに、物流網だけでなく、送電網と通信回線のコネクティビティまでも視野に入れる。

 一方、ロビト回廊は、アフリカ南部のアンゴラ東部からコンゴ民主協和異国南部とザンビア北部をつなぐ鉄道新設プロジェクトで、ザンビアの胴ベルト、及びコンゴ民主共和国のカタンガ鉱山地帯から採掘される鉱物資源を大西洋を経由して欧米へ運ぶことが意図されている。同構想は、バイデン大統領が5月に発表。さらに今回、米国政府とEUが共同声明を発表し、アンゴラ、ザンビア、コンゴ民主共和国がプロジェクト実現にコミットしたことが表明された。

 同地域では、すでに中国が、アンゴラからコンゴ民主共和国とザンビアを経由して東岸のタンザニアにまで抜ける大規模なアフリカ大陸横断鉄道プロジェクトを展開している。ロビト港とコンゴ民主共和国のルアラバ州を結ぶ「ベンゲラ鉄道」は1929年に開通していたが、1975年からのアンゴラ内戦で破壊。その後、中国の支援を受け再建が完了し、2014年8月までに全線開通している。さらに、東側では、中国政府が1965年に提案された「タンザニア鉄道」が1976年に完成。2019年7月には、ベンゲラ鉄道とも接続し、アフリカ大陸横断鉄道が実現している。

 欧米によるロビト回廊鉄道が実現すると、さらにアンゴラの経済的可能性は高まり、周辺には大きな資金が投入されることになる。今回の発表では、周辺コミュニティへの電力供給を増やすためのクリーンエネルギープロジェクトの開発、重要な鉱物やクリーンエネルギーのサプライチェーンへの多角的な投資支援、デジタルアクセスの拡大、世界的な食料不安に対処するための農業バリューチェーンの育成、地元の労働力トレーニング、中小企業への支援、経済の多様化の強化等までを打ち出した。

【参照ページ】FACT SHEET: President Biden and Prime Minister Modi Host Leaders on the Partnership for Global Infrastructure and Investment
【参照ページ】FACT SHEET: World Leaders Launch a Landmark India-Middle East-Europe Economic Corridor
【参照ページ】Joint Statement from the United States and the European Union on Support for Angola, Zambia and the Democratic Republic of the Congo’s commitment to Further Develop the Lobito Corridor and the U.S.-EU Launch of a Greenfield Rail Line Feasibility Study

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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