機関投資家の気候変動アクション・イニシアチブClimate Action 100+(CA100+)は9月6日、鉱業のためのネットゼロ・スタンダード策定を発表した。事象運用を開始し、評価基準の実用性のテストを行った後、最終的な評価基準リストに反映予する定。CA100+は2023年5月に、同基準の策定を開始を発表していた。
【参考】【国際】CA100+、鉱業向けネットゼロ基準策定開始。第3四半期に最終版を公開予定。(2023年6月13日)
同基準は、鉱業のカーボンニュートラル達成に向け、機関投資家が金属・鉱業セクター企業を評価するための基準を策定したもの。鉱業は再生可能エネルギー移行に向けて重要な役割を担っているため多くの機会がある一方、移行リスクも存在。世界全体の需要を満たすために多額の投資が必要となるため、投資家は鉱業界とエンゲージメントに必要な情報フレームワークを必要としている。
今回の発表では、鉱業会社の評価指標と採点方法を解説したガイダンスを公開。一般炭と原料炭、鉄鉱石、ボーキサイト、アルミニウムについて特別な要件を設定した上で、カーボンニュートラルで需要が増える資源についても「主要トランジション資源」と「その他トランジション資源」の2つに分けてリスト化した。短期、中期、長期の目標設定では、原単位のみを採用し、総量については今後開発するとした。
主要トランジション資源では、リチウム、銅、黒鉛、テルル、ニッケル、コバルト、ネオジムを指定。その他トランジション資源では、アルミニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、錫、亜鉛、シリコン、銀、ガリウム、インジウム、ニオビウム、タンタル、ジルコニウム、モリブデン等、29物質を指定した。
トランジション指標の資源採掘事業については、基本的にプラスに評価されるが、DNSH(Do Not Significant Harm)やジャスト・トランジション(公正な移行)等の社会・環境インパクトの考慮と、採掘課程での原単位排出量の削減がチェックポイントとなる。
新評価指標は、既存の投資先企業のカーボンニュートラルへのアクションを評価する枠組みである「Climate Action 100+ ネットゼロ企業ベンチマーク」を補完する形で用いられる。そのため、新指標と既存指標との関連性についても示した。
【参照ページ】CLIMATE ACTION 100+ RELEASES THE FIRST NET ZERO STANDARD FOR DIVERSIFIED MINING
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