ドイツ連邦政府は8月16日、連邦住宅・都市開発・建設省と連邦経済・気候保護省が提出した熱供給に関する熱計画法案を閣議決定した。今後、国会での審議に入るとみられる。EUエネルギー効率指令や、ウクライナ戦争によるロシアからのエネルギー自立が背景にある。
同法案は、2030年までに、暖房ネットワークに占める再生可能エネルギー由来の熱または不可避な廃熱の割合を2030年までに30%、2040年までに80%、2045年までに100%にまで引き上げることを法定義務化。各州政府には具体的な熱計画を策定・実行する義務も課す。各州政府は、自州内の法人または管轄行政機関に責務を移譲することも可能。
同法案は「再生可能エネルギー由来の熱」に定義について、地熱、地中熱、環境熱、太陽熱、廃水熱等とした。バイオマスについては、2020年制定の建築エネルギー法に準ずる要件が設けられるとともに、EU規則に基づき、土地利用変化リスクを伴うバイオマス燃料を使用した熱は除外される。グリーン水素、バイオメタン、グリーン水素由来のグリーンメタン、グリーン水素を混合したメタンは定義に含めた。再生可能エネルギー電力を活用した熱も定義に含まれる。
「不可避な廃熱」の定義は、工業プラント、発電プラント、第3次産業部門から発生する経済上もしくは安全上等の理由で大気中や水中に排出される熱。通常の設備等で工場で熱利用できるもの等は除外される。
バイオマス由来の熱の割合は2045年時点での上限を設定し、全長20kmから50kmの暖房ネットワークで25%以下、全長50kmを超える場合は15%以下に制限される。
また同法案は、新設の暖房ネットワークについては、要件を厳しくしており、再生可能エネルギー由来の熱もしくは不可避な廃熱の熱量割合を65%以上に設定。加えて、熱量に占めるバイオマスの割合を、全長20kmから50kmの暖房ネットワークで35%以下、全長50kmを超える場合は25%以下に制限される。適用は2024年1月1日から。
同法案の規定による産業界費用は、2028年までに約4,600万ユーロ、2024年から2030年までに約4億1,500万ユーロ、2031年以降は約7億7,000万ユーロと見積もった。但し、カーボンプライシングは今後大幅に上昇すると見通しており、実質的な価格上昇効果はないとした。
【参照ページ】Einheitliche Wärmeplanung für ganz Deutschland: Bundesregierung bringt Gesetzentwurf auf den Weg
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら