三井物産、三井化学、IHI、関西電力の4社は8月30日、大阪の臨海工業地帯を拠点とした水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書を締結した。需要家として神戸製鋼所との協働も開始する。他にもガス大手や三菱商事等も動き出している。
三井化学は、堺・泉北臨海工業地区に化学プラントを保有。また、関西電力も地域のカーボンニュートラル化で水素・アンモニアの可能性も追求する姿勢を見せている。三井物産はアンモニアの輸入シェアトップとして、IHIはアンモニア関連技術のバリューチェーン構築で強みを持つ。今回は水素及びアンモニアの熱利用を模索する模様。
また、大阪ガスと、ENEOSホールディングス傘下のENEOSは8月29日、大阪港湾部でグリーン水素を活用した国内初となる国産e-メタン(合成メタン)の量産に関する共同検討を開始した。海外で製造したグリーン水素を、メチルシクロヘキサン(MCH)に変換して輸送し、二酸化炭素と反応させて国産e-メタンを量産する考え。生産量は2030年までに年料6,000万m3を狙う。
さらに、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、三菱商事の4社は8月30日、米センプラ・インフラストラクチャーと協働し、合成メタンを米メキシコ湾岸で製造・液化し、国際的に輸送するサプライチェーン確立に向けた共同検討に関する基本合意書にも締結している。同プロジェクトでは、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの年間都市ガス需要の1%に相当する年間13万tの合成メタンを製造し、ルイジアナ州南西部の三菱商事が液化能力を有するキャメロンLNG基地にて液化。日本に輸出する考え。国内の都市ガスインフラで合成メタンを供給することを狙う。
三井物産は別途、8月31日、ごみ埋立地で発生する廃棄物メタンを有効活用する米テレヴァ・リニューアブルズに33.3%出資したことも発表。テレバ・リニューアブルズは、すでに北米5ヶ所で廃棄物メタンを処理して「再生可能天然ガス(RNG)」として販売しており、今回の出資で、生産体制の拡大を目指す。
アンモニアやメタンは、いずれも水素元素を含む。アンモニアや合成メタンの可能性は、水素生成を含めたライフサイクル全体での排出量削減と、コスト競争力の状況により、大きく明暗がわかれてくる。
【参照ページ】大阪の臨海工業地帯を拠点とした水素・アンモニアサプライチェーン構築に向けた共同検討を開始
【参照ページ】大阪港湾部におけるグリーン水素を活用した国内初となる国産e-メタンの大規模製造に関する共同検討の開始について
【参照ページ】米国キャメロンLNG基地を活用した日本へのe-methane導入に関する詳細検討へのセンプラ・インフラストラクチャー社の参画について
【参照ページ】再生可能天然ガスの製造・販売事業を行う米Terreva Renewables社への出資参画
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