米ESG投資推進NGOのCeresは8月8日、米保険業界の化石燃料に関する運用資産状況を分析した報告書を発表した。米カリフォルニア州保険局がまとめた米国保険会社の2019年の資産状況データを活用し、ERMとPersefoniと協働で分析した。
今回の報告書は、気候変動リスクや自然災害の激甚化で損害保険料の引き上げが行われている中、保険業界が気候変動の要因である化石燃料への運用エクスポジャーについて調査したもの。保険業界の姿勢の一貫性のなさを突くことが狙い。
米保険業界全体で保有する化石燃料関連の資産5兆米ドル(約732兆円)のうち、上位16社で50%を保有。特に、損害保険業界では、上位2社のバークシャー・ハサウェイ、ステート・ファーム・インシュアランスは損害保険業界全体が保有する化石燃料関連の資産のうち44%を所有していた。生命保険会社では、上位2社のTIAA、ニューヨーク・ライフ・インシュアランスが、生命保険業界全体が保有する化石燃料関連の資産のうち14%所有していた。
一部の保険会社は気候変動に関連するリスク回避のため、地域によっては特定の保険引受を停止している。ステート・ファーム・インシュアランスは2023年5月に山火事を理由にカリフォルニア州での住宅保険の新規サービスの停止を発表。また、チューリッヒ保険傘下のファーマーズ・インシュランス・グループは2023年7月、フロリダ州で契約済の住宅保険の3分の1の更新停止を発表、ルイジアナ州ではハリケーンが多発するリスクから20社近くの住宅保険会社が撤退、もしくは債務超過を発表した。
同報告書では、資産状況から2019年から現在までに大きく変化した企業が存在する可能性があるとした上で、保険会社が化石燃料関連の資産に関する方針を明示しないことに苦言を呈した。保険業界に対して、保険引受、リスク、投融資の各機能毎に気候変動への対策を行うよう訴えた。
【参照ページ】New Research Shows Insurance Sector has Significant Exposure to Fossil Fuel Assets Despite Vulnerability to Climate Change
【参照ページ】Report Analysis of the insurance sector's investments in fossil-fuel related assets
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