世界銀行は8月16日、ブルーカーボンに関し、世界の海藻市場に関して分析した報告書を発表した。2030年までに合計118億米ドル(約1.7兆円)まで成長する可能性のある10の海藻マーケットを特定した。
今回の発表は、世界の海藻市場について既存の市場以外で最も成長する可能性がある10の新しい海藻の用途について分析したもの。海藻養殖は二酸化炭素の貯蔵、海洋生物多様性の維持、女性の雇用、バリューチェーンの構築等、気候、自然、経済が連携して価値を生みだし、地域社会を活性化させると報告した。
養殖された海藻のほとんどは直接消費、もしくは水産養殖業の飼料として消費されているが、将来的には繊維やプラスチック等の代替品として製品化されることが期待されている。アジア地域の数カ国が現在の海藻生産量の98%を占めているため、今後多くの沿岸地域で大きな成長機会があるとした。
(出所)世界銀行
今回の発表では、2025年までの短期、2028年までの中期、2028年以降の長期に分けてマーケットを分析。短期市場では、植物や土壌により良い状態をもたらす様々な物質や微生物であるバイオスティミュラント、家畜飼料添加物、ペットフードが最も有望だとし、2030年までに44億米ドル(約6,387億円)まで成長すると予測。海藻によるメタン排出量を抑制する飼料添加物の市場は、技術面や規制面で大きな課題があるにも関わらず、他の市場と比較して課題解決のための取り組みが活発だとした。
2024年から2028年までの中期マーケットでは、まず、栄養補助食品を挙げた。商品単価が高額であり中期的な発展が見込めるが、規制がハードルとなり市場の発展が遅れる可能性を指摘。2030年までに60億米ドル(約8,734億円)に成長すると予測した。その他の市場は、代替たんぱく質、バイオプラスチック、繊維市場。生産コスト、価格、機能性に課題があるため、研究開発が必要だとした。
2028年以降の長期マーケットでは、医薬品と建設の市場を分析。医薬品は長期的な市場機会を提供すると予測しつつも、規制上の課題と開発コストの高さから市場規模推定の信頼性に欠けるとして具体的な数字は伏せた。建築資材への活用等の建設市場は、2030年までに14億米ドル(約2,035億円)に達すると予測したが、限定的な用途に閉じるとした。
同報告書では、海藻マーケットは、海藻の供給量、安定性、品質面での限界が課題だと報告。海藻の用途が増えるにつれ、価格や規制の課題も顕在化する可能性がある。多くの課題があるが、環境に良い海藻市場が活性化することが新興国の経済に好影響を与えるとした。世界資源が枯渇している今、海藻のような資源を最大限活用する必要性を訴えた。
【参照ページ】New Farmed Seaweed Markets Could Reach $11.8 Billion by 2030
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