機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は8月22日、2030年までに農業補助金を気候・自然の目標に適合させるよう要請するG20財相への投資家声明に関し、32の機関投資家が署名したと発表した。運用資産総額は7.3兆米ドル(約1,060兆円)。
【参考】【国際】FAIRR、G20財相に農業補助金改革要請。気候・自然目標との整合確保(2023年5月23日)
同声明は、パリ協定と昆明-モントリオール生物多様性枠組みを踏まえ、農業補助金の改革にコミットするよう要請したもの。特に、昆明-モントリオール生物多様性枠組みでは、ターゲット18で「2025年までに特定し、比例的、公正、公平、効果的かつ公平な方法で生物多様性に有害な補助金を含むインセンティブの廃止、段階的廃止、改革」と言及されていることを踏まえ、農業財政改革が必要と伝えた。
署名した32の機関投資家は、リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)、BNPパリバ・アセット・マネジメント等。
農業補助金やその他のインセンティブは、世界の農業生産額の約15%を占めており、二酸化炭素を大量に排出する農産物の過剰な生産と消費を助長していると指摘。EUの農業補助金の約20%を畜産業が受け取っているが、畜産業はEUの農業による二酸化炭素排出量の50%を占めている。また、EUの共通農業政策(CAP)は予算全体の3分の1を占めており、気候変動緩和と適応のために1,000億ユーロ(約15兆円)の特別予算が計上されているが、2010年以降の二酸化炭素排出量削減がほとんど進んでいない。
補助金改革の具体的な措置として、「財政支援と環境保護義務を連動させる」「気候変動や自然破壊の原因となる農産物ではなく持続可能な農業につながる農産物にインセンティブを与える」「二酸化炭素排出量の多い肉や乳製品等への補助金からシフトする」「改革による影響を受ける労働者への資金援助を行い公正な移行(ジャスト・トランジション)を実現する」の4つを求めた。
【参照ページ】$7.3 Trillion Investor Coalition Calls for G20 Food Subsidy Reform by 2030 to Meet Climate and Nature Goals
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