英イースト・アングリア大学と英ケンブリッジ大学の研究者らは、二酸化炭素排出量の削減が進まなければ、59カ国の国債格付が大幅に下落するという論文を発表した。企業負債も増加すると予測した。
同研究では、AIを活用し、10年後、30年後、50年後、2100年頃の108ヶ国のS&P格付に気候変動が及ぼす影響をシミュレーションした。
その結果、2100年までに約4℃気温が上昇するRCP8.5シナリオでは、2100年頃までに81カ国が平均2.18ノッチの格下に直面。特に、チリと中国は約7ノッチの格下。インド、カナダ、スロバキア、マレーシア、メキシコ、ペルーは5ノッチ以上下がる計算となった。G7では、米国が4.68、英国が3.46、フランスが2.70、日本が2.56、ドイツが0.78下がる。
一方、気温上昇を2℃未満に抑えるRCP 2.6シナリオでは、2100年頃までの状況でも平均で0.92の格下げにとどまる。そのため、パリ協定を遵守することで、国債格付の影響を軽微にできるとした。
国債格付の影響では、新型コロナウイルス・パンデミックの2020年1月から2021年2月の間に、48の国債が3大機関による格下げを受けている。
国債格付が下がり、国債金利が引き上がれば、社債や融資の金利も上昇することになる。同論文は、企業負債の悪影響についても試算している。
同研究は、2020年頃から発表されており、今回最終版がManagement Science誌に掲載された。
【参照ページ】Rising Temperatures, Falling Ratings: The Effect of Climate Change on Sovereign Creditworthiness
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