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【アジア】AIGCCの電力会社エンゲージメント、東南アジア電力大手に脱石炭火力の動き

 アジア機関投資家の気候変動イニシアチブAIGCCの電力会社向けエンゲージメントプログラム「アジア電力会社エンゲージメント・プログラム(AUEP)」は8月10日、活動2年目の成果を発表した。

【参考】【アジア】13機関投資家、日本の大手電力含むアジア5社に脱炭素エンゲージメント。ガス火力も(2021年6月9日)

 AEUPは2021年に活動を開始。当初、機関投資家13社で開始したが、稼働2年目には15社に拡大している。具体的には、三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメント、りそなアセットマネジメント、アムンディ、BNPパリバ・アセット・マネジメント、フィデリティ・インターナショナル、JPモルガン・アセット・マネジメント、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、イーストスプリング・インベストメンツ、GIC、EOSフェデレーテッド・ハーミーズ、イーストスプリング・インベストメンツ、国泰金控(キャセイ・フィナンシャル・ホールディングス)、インカム・パートナーズ・アセット・マネジメント、UOBアセット・マネジメント、フラトン・ファンド・マネジメント。さらに3年目の今期には、アバディーン、ライオン・グローバル・インベスターズ、サン・ライフの3社が加わり、18社となった。運用資産の総額は12兆米ドル(約1,750兆円)。

 同プログラムは、エンゲージメント対象電力会社に対し、パリ協定との整合性のある短期、中期、長期の脱炭素化(カーボンニュートラル)戦略を明確に開示し、国際エネルギー機関(IEA)のNZE2050シナリオに基づく石炭火力発電の段階的廃止のスケジュールを示すことを要求している。NZE2050シナリオでは、炭素回収・利用・貯留(CCUS)設備を敷設していない石炭火力発電を先進国では2030年までに、それ以外でも2040年までに全廃することを求めている。天然ガス火力発電の新設に関しても、CCUS設備がないものは、2030年までに発電量を削減し、2040年までに2020年比90%減も要求している。

 エンゲージメント対象企業は、当初は、電源開発(Jパワー)、中部電力、香港のCLPホールディングス、中国の華潤電力集団、マレーシアのテナガ・ナショナルの5社だったが、現在は7社に拡大。中国の華能国際電力、インドネシアのペルサハーン・リストリク・ネガラ(ペルセロ)が加わった。

 このうち、すでにCLPホールディングスは、2040年までの石炭火力初発電の段階的廃止スケジュールを発表済み。2022年8月から2023年7月の2年目の成果では、マレーシアのテナガ・ナショナルとインドネシアのペルサハーン・リストリク・ネガラが、一部の石炭火力発電所の早期閉鎖にコミットした。さらにペルサハーン・リストリク・ネガラは石炭火力発電所の新設禁止にもコミットした。今後の全ての対象企業に石炭火力発電の段階的廃止スケジュールの策定及び前倒しを求めていく。

 再生可能エネルギー発電の拡大では、テナガ・ナショナルは2050年までに14.3GWの設備容量目標を発表。ペルサハーン・リストリク・ネガラは、2060年までにカーボンニュートラル目標を達成する手段として、再生可能エネルギー発電所を追加開発する計画も発表した。

 取締役報酬との連動では、2023年に中部電力、JERA(中部電力と東京電力ホールディングスの合弁会社)、Jパワーが、ESG指標との連動を検討していることを表明。テナガ・ナショナルも、経営幹部のKPIをESG指標と連動させると発表した。

 政策アドボカシーでは、5月から6月にインドネシア、マレーシア、日本との非公開の政策円卓会議を開催。政府、AUEP加盟及び未加盟の投資家、企業等が参加した。アジェンダでは、電力会社に対し、短期的な科学的根拠に基づく目標と、短期・中期的な排出削減を示す詳細な移行計画によって補完される長期的なコミットメントの必要性を投資家側は強調。公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)の下で誓約されたような公的・民間ファイナンスの設計状況についても議論があった。再生可能エネルギーや水素の長期的コストに関しても、政府がより明確にする必要があると伝えられた。

【参照ページ】Investors’ $12 trillion Asian Utilities Engagement Program: Progress on coal phase out and renewable energy commitments

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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