Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【台湾】金融当局、上場企業のESGルールを大幅厳格化。台湾証取はESGインフォハブ開設

 台湾証券取引所(TWSE)は7月12日、同市場で上場している企業のESG情報を集約したウェブサイト「ESGインフォハブ」を開設した。主要情報をデータ化し、他の上場企業と比較できるようにした。台湾証券取引所上場企業は現在、約1,000社。

 ESGインフォハブには、全体市場動向を整理した「マーケットハイライト」、各社の情報データベース「ESGデータベース」、ESGインデックス情報「ESG製品」、関連情報集「関連リソース」、二酸化炭素排出量の第三者保証取得ガイド「温室効果ガス設定認定」の5つのカテゴリーで構成。

 「マーケット・ハイライト」では、サステナビリティ報告書、気候変動、コーポレートガバナンス、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)、グリーンファイナンス等の全体動向が整理されており、例えば、台湾上場企業573社がすでに2022年の「温室効果ガス排出・削減情報」を開示していることがわかる。女性取締役選任企業割合は、上場企業全体の72.3%にまで上昇している。

 「ESGデータベース」は、E分野では、二酸化炭素排出量、再生可能エネルギー割合、温室効果ガス排出量、水消費量、廃棄物量のデータを、S分野では、女性経営陣比率、労災件数、平均給与の推移、フルタイム社員の平均給与の推移、福利厚生費用推移、G分野では、独立社外取締役比率、女性取締役数、取締役の取締役会出席率、総研修時間、投資家ミーティング回数が掲載れている。

 台湾証券取引所は、2015年に「上場会社の企業社会責任(CSR)報告書の作成及び申告に関するついての手法」の改訂し、上場企業に非財務情報の開示を義務化。さらに、台湾金融監督管理委員会(FSC)は2021年、台湾証券取引所の全上場企業に対し、二酸化炭素排出量、水消費量、廃棄物マネジメントのESG情報開示を義務化し、順次義務項目を追加してきた。そのため今回、データベースの作成が実現した。

【台湾】台湾証券取引所、CSR報告書の適用範囲を拡大(2015年11月21日)
【台湾】【台湾】政府、全上場企業にCO2排出量、水消費量、廃棄物管理のESG情報開示を法定義務化へ(2021年6月21日)

 同取引所は今回、「ESGインフォハブの開設は、ESGデータの共有と活用、ESG投資の促進、サステナビリティ資本の投資誘導といった目標を達成するため、ESGエコシステムの推進に向けた東証のコミットメントにおける重要なマイルストーンであるとしている。今後、台湾証券取引所はESGエコシステムを推進し、ESGを国際競争における台湾企業の基盤とし、台湾資本市場全体の競争力を高めていく」とコメントした。

 台湾ではコーポレートガバナンスの状況も大幅に改善してきており、同証券取引所の8月の発表によると、株主総会の議決権行使結果を即日公表している企業が90%を超えた。独立社外取締役が3分の1を超える上場企業も830社にまで増加した。

 台湾では、コーポレートガバナンスの法定基準が引き上げられてきており、台湾金融監督管理委員会は2020年、全上場企業を対象にした「コーポレートガバナンス3.0」を発行。2023年からコーポレートガバナンス最高責任者の選任義務化、英語での法定開示書類や年次報告書の開示義務化、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)とサステナビリティ会計基準審議会(SASB)に基づく開示が義務化が導入。サステナビリティ報告書の開示義務対象も、払込資本20億台湾ドル以上の上場企業に拡大され、さらに2022年からはサステナビリティ報告書の第三者保証も義務化されている。2024年からは、独立社外取締役が3分の1、連続任期3期までの規定も導入される。

 さらに台湾金融監督管理委員会は2022年1月、「持続可能な開発ガイドマップ」を発表。上場企業の指針として、持続可能な発展を推進するための常設もしくは非常設の部署を設置し、業務上のESGリスクを評価し、リスクマネジメント方針と戦略を策定すること、及び取締役会は、四半期毎に活動の実施を監督することを勧告。さらに、台湾証券取引所に対し、グラスゴー金融同盟(GFANZ)に加盟するよう勧告した。今回の「ESGインフォハブ」の開設も同ガイドブックの中に盛り込まれていた。

 加えて、同委員会は2023年3月、「台湾証券取引所上場企業のための持続可能な開発アクションプラン」を策定。上場企業にカーボンニュートラル達成を促すとともに、台湾環境保護署(2023年中に環境保護部への格上げが決定)に対し、二酸化炭素排出量取引制度の導入を勧告。上場企業には、スコープ3の排出量開示の奨励した。

 同アクションプランでは、上場企業に対する今後のルール厳格化として、ESGパフォーマンスを考慮した役員報酬制度の導入を奨励するとともに、女性取締役の選任を、IPO申請企業は2023年までに、全上場企業は2024年までに1人以上の選任を奨励。さらに女性取締役が3分の1未満の場合は2025年までにアニュアルレポートで理由の開示を奨励することを掲げた。また2025年からアニュアルレポートに、サステナビリティ情報の要件を盛り込むとともに、サステナビリティ報告の開示義務対象も全上場企業へと拡大する考え。

 これを受け、台湾証券取引所は8月16日、台湾コーポレート・ガバナンス協会に委託する形で、国立台北科技大学、国立中興大学、国立成功大学と協働し、「ネット・ゼロ・サステナビリティ人材養成講座」を開設。第1回の研修講座が8月17日に実施され、上場企業から80人が参加した。

【参照ページ】TWSE Launches ESG InfoHub to Bring You A New Perspective in Sustainable Information
【参照ページ】Corporate Governance of Listed Companies Continues to Improve in 2023
【参照ページ】The “Net Zero Sustainability Talent Training Class” Is Launched to Cultivate Sustainability Talents for Enterprises
【参照ページ】Corporate Governance Roadmap
【参照ページ】The “Sustainable Development Guidemap for TWSE- and TPEx-Listed Companies” will be promulgated shortly
【参照ページ】FSC Launches “Sustainable Development Action Plans for TWSE- and TPEx-Listed Companies (2023)”
【参照ページ】The “Net Zero Sustainability Talent Training Class” Is Launched to Cultivate Sustainability Talents for Enterprises.

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。