環境省は7月25日、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)に関する今後の対応の方向性を定めた。PFAS規制強化は欧米先進国では3年ほど前から本格化してきているが、日本政府の対応が遅れていた。
同省は、今回の検討の背景について、PFASの一種であるPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(パーフルオロオクタン酸)はすでに残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で規制対象物質として指定されていることを紹介。また、環境省等が日本国内で実施した調査で、局地的に比較的高濃度のPFOSやPFOAが検出された地域の関係自治体や地元住民から、影響不安や、目標値や基準値の検討等の対策を求める声が上がっていることも理由として挙げた。さらに、PFOS、PFOA以外のPFASについても、各国等で議論が始まっているとした。
【参考】【環境】化学物質PFASとは何か? 〜マクドナルドやアマゾンが使用禁止を決めた背景やPFOAとの違い〜(2021年1月17日)
今回の対策では、まず、PFOAとPFOSについて、既存の規制の実効性を高めるため、管理や適正処理の徹底を方針として設定。不安が出ている地域では、各地方自治体の対策や情報発信が主となるとし、環境省としては、各自治体向けに、追加調査や濃度低減のために必要な措置の検討に資する参考情報等を提供していくとした。同時に今回、「PFOS、PFOAに関するQ&A集」も発表した。
PFOA及びPFOS以外のPFASについては、「非常に数が多く、個別の有害性や環境中での存在状況に関する知見が不足ないし存在していないものが多いため、更なる科学的知見等の充実を図りながら対応していくことが必要」を基本姿勢とした。科学的知見については、今後本格始動させる予定のため、把握には時間がかかりそう。
また、PFOA及びPFOS以外のPFASについては、POPs条約で廃絶することが決定している物質と、POPs条約で廃絶対象として検討中の物質を優先的に扱う方針を掲げた。具体的には、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)と、長鎖PFCA(長鎖パーペルフルオロアルキルカルボン酸)の2つ。
それ以外の物質については、各国規制動向、日本の水環境中の存在状況等を踏まえ、今後評価していくというような抽象的な方針設定にとどまった。
【参考】【EU】欧州化学機関、REACH規則に基づくPFAS一斉規制の検討開始。画期的アプローチ(2023年2月8日)
【参考】【アメリカ】全米各州、PFAS禁止州法が続々施行。食品容器・包装からアパレル製品へと拡大(2023年1月29日)
日本政府の検討スピードは遅い。そのため、海外で使用されることも前提とするメーカーは、日本の法令ではなく、海外法令に自身で対応しながら、対策を進めていく必要がある。
【参照ページ】PFASに対する総合戦略検討専門家会議
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