英小売大手テスコは8月2日、プライベートブランド(PB)牛肉ミンチ商品で新たにピロー包装を実証採用し、プラスチック消費量を70%削減したと発表した。同包装が消費者に受け入れられれば他商品にも展開予定。
ピロー包装は、従来のトレイを使ったパッケージではなく、全面をプラスチック包装する手法。空気圧で内部を少し膨らせており、圧縮を防いでいる。トレイのような硬質プラスチックではなく、軟質プラスチックの素材を活用しつつ、プラスチックの総量も減らせる。パッケージも小さくした。同包装素材は、他の軟質プラスチックとともにテスコ小売店舗で回収し、リサイクルが可能。
今回の実証では2列で陳列販売。展開商品は「Tesco Beef Lean Steak Mince 500g 脂肪分5%(3.49ポンド)」と「Tesco Beef Mince 500g 脂肪分20%(2.49ポンド)」。
同社は現在、プラスチックに関し、4R戦略(廃止、削減、リユース、再利用)を実行しており、英国のリサイクル能力等も加味して、素材毎に「赤」「オレンジ」「緑」の3種類に色分けしている。赤判定された素材は、サプライヤーの使用を拒否。オレンジについても、可能な限り削減するアクションを展開している。すでに2019年8月の4R戦略開始以来、年間4,500t以上のプラスチック削減を実現している。
【参考】【イギリス】テスコ、PB製品でプラスチック10億個使用削減。納品業者の選定基準にもプラスチック観点追加(2019年11月5日)
また同社は8月3日、パートタイム社員を含む全従業員30万人以上を対象に、フレックスタイム制を導入すると発表した。勤務形態に柔軟なアプローチを取り入れることで、従業員のワークライフバランスを図る。
同アクションの背景には、英政府が雇用法改正がある。従来、労働者がフレックスタイムを要求する権利は、入社後26週間以上連続して勤務していることが条件だった。しかし英政府は現在、法改正を進めており、就業初日から権利の行使が認められるようになる。改正法は2024年春に制定。2025年春に適用することが計画されている。それに対しテスコは、先んじて自主導入を決めた。
同社はまず、新規募集するフルタイムの全職種を対象にフレックスタイム制を適用。同社の従業員割合が高いパートタイム従業員に対しても、今後フレックスタイム制を適用できるように検討していく。
同社はすでに、新規採用社員に対し、週16時間以上の労働時間を契約上で保証。さらに定期的に時間外労働が発生する場合は、実態の労働時間を反映した契約を要求する権利も社員に与えている。これらの対応をしている英小売大手は同社のみ。また、福利厚生として、ヘルスケア・サービス「virtual GP」へのアクセスを提供し、医師のオンライン・電話診断をいつでも受けられるようにした。加えて、従業員支援プログラムを通じ、睡眠療法士、栄養士、カウンセラー、運動コーチ、理学療法士等からの健康サポートを受けることもできる。
【参考】【イギリス】テスコ、従業員賃金・スキル向上に大幅投資。契約酪農家への安定価格保証も(2022年4月18日)
【参照ページ】Tesco unveils fresh mince ‘pillow packs’ that use less plastic
【参照ページ】Tesco becomes first major supermarket in UK to offer right to request flexible working for any colleague
【画像】Tesco
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