Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【フランス】2024年パリ五輪、提供1300万食でオフセットなしでCO2半減。産業転換の機会に

 国際オリンピック委員会は7月27日、2024年のパリ五輪の期間中、40カ所以上で4週間で1,300万食を提供する食事に関し、食事からの二酸化炭素排出量をカーボンオフセットなしで半減させると発表した。

 パリ・オリンピック・パラリンピック組織委員会は、大会開催地選考時から、2012年のロンドン五輪、2016年のリオデジャネイロ五輪との比較で二酸化炭素排出量を半減させることをコミット。残存二酸化炭素排出量についてはオフセットし、カーボンニュートラルにすることにしていた。その中で、食事からの二酸化炭素排出量が占める割合は小さいが、料理をブランドとするフランスの組織委員会は、食事からの排出量にこだわることを決めていた。

 そこで同組織委員会は5月、「パリ2024年フード・ビジョン」を発表。食事からの二酸化炭素排出量の半減の他、食事提供(輸送含む)に関する使い捨てプラスチックの量半減、食事の80%をフランス国内で調達、認証食材100%、未使用食材廃棄物ゼロ、使い残し・食べ残し食材を100%回収、全てのケータリング機器の再利用、障害者や社会的支援が必要な人の雇用率を全体の10%(選手村では15%)確保する目標も設定。使い捨てプラスチックでは、使い捨て食器やボトルを一切廃止すると宣言した。

 1,300万食の内訳は、観客用の軽食500万食、スタッフとボランティア用の食事350万食、選手用の食事220万食、メディア用の食事180万食、宿泊施設での食事の35万食、オリンピック・パラリンピック関係者用食事の15万食。

 食事での戦略策定において、同組織委員会は、農家、ケータリング事業者、NGO、栄養士、パリ2024のスポンサー等120団体と18ヶ月間協議を実施。10の個別インタビューと10のグループワークショップも実施した。さらにフランス人選手40人、外国人選手160人にアンケート調査も実施し、食事のニーズを把握した上で、98%の選手が社会や環境に関するインパクトを「懸念している」もしくは「非常に懸念している」と回答していた。最終的に、目標達成をサポートしてもらえるフランスのトップシェフたちが集結。有名シェフのティエリー・マルクス氏が総指揮を、アマンディーヌ・シュニョー氏、アクラメ・ベナラル氏、アレクサンドル・マッツィア氏が選手村の食事の監修を行うことが決まった。

 達成戦略では、すでにいくつかの方向性が見えている。まず、全ての食材はサステナビリティ認証食材にした上で、80%はフランス国内で、さらに25%は各会場から250km以内で調達する。輸入食材は、全商品の30%以上をオーガニックとし、乳製品は100%フランス産を使用。その上で、野菜と植物性タンパク質の量を倍増させることで、食事の二酸化炭素排出量を半減する。

 飲料では、ワールドワイド・オリンピックのパートナーであるコカ・コーラ・カンパニーが、全会場に水飲み場とソーダ水飲み場を計700ヶ所設置。再利用可能でリサイクル可能なカップのみを用いる。選手村に必要な10万枚の皿はすべて、大会後にイベント管理スペシャリストSodexo Live!が再利用する。テイクアウトのケータリングには返却可能でリサイクル可能な代替品が使用し、ケータリング業務は障害者や社会的支援が必要な人々が担当する。

 廃棄物では、サプライチェーンの上流工程と食品廃棄物で、残った食品はすべて寄付、堆肥化、バイオガス化のいずれかの手法で処理される。

 IOCのマリー・サロワ・サステナビリティ担当理事は今回、「このアプローチが、大会のフットプリント削減に貢献するだけでなく、スポーツイベントやそれ以外での持続可能なケータリングの水準を引き上げることを期待する」とコメント。

 また、総指揮をとるティエリー・マルクス氏は、今回のアクションが、フランスのフード産業にとって、食の転換を前向きに進める新たな機会になると強調。五輪というビッグイベントを、未来の産業発展のために活かすことができると抱負を述べた。

【参照ページ】Paris 2024 puts sustainability on the plate
【参照ページ】GOURMET, MORE LOCAL, MORE PLANT-BASED FOOD FOR THE GAMES
【参照ページ】PARIS 2024 FOOD VISION

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。