米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院栄養学科の専門家らは7月18日、世界保健機関(WHO)が改訂した脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、炭水化物に関する栄養指針に対し反論を発表。総脂質を総カロリー摂取量の30%以下に制限することをあらためて提示したことに対し、科学的根拠を欠いていると批判した。
【参考】【国際】WHO、脂質と糖質で栄養指針改訂。子供の摂取基準を新たに設定(2023年7月27日)
今回の反論は、ウォルター・ウィレット教授らを代表する栄養学科として意見として、同大学のホームページに掲載されたもの。総脂質摂取については、数十件の長期コホート研究やランダム化比較試験(RCT)をエビデンスとして指摘し、がん、糖尿病、心血管疾患、体重減少を含む慢性疾患のリスク低下に対する低脂肪食の有益性が乏しいことを挙げた。
同内容について、WHOが示した指針の証拠については、重大な欠陥のあるメタ分析に基づいていると指摘。過去数十年にわたる食事脂肪に関する研究を無視したものとなっているとした。さらに、総脂質摂取量を減らすことは、炭水化物のうち、特に精製炭水化物や糖分の摂取量を増やすことにつながりかねないという懸念も表明した。
一方、総脂質摂取量に関するもの以外は、「十分に支持」とコメント。「総脂質の制限は無視するのが最善である」と述べた。
ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院は、栄養学の分野で世界的な権威だが、独自の見解を発表することも多い。総脂質に関する分野が再び学術的な論争になりそうだ。
厚生労働省が2020年に発行した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1歳以上の男女の双方で、総脂質が占める総エネルギー摂取量の割合を20%から30%の範囲にするよう推奨している。
【参照ページ】WHO releases updated guidelines on defining healthy diets
【参照ページ】日本人の食事摂取基準
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