オランダ公務員年金基金ABPの運用会社APGは7月、韓国政府に対する気候変動エンゲージメントのレベルを引上げた。従来は、大企業に対する気候変動戦略の策定を要求してきたが、株主総会に関する商法改正までをも視野に入れた。
ABPは2021年10月、機関投資家の気候変動アクション・イニシアチブClimate Action 100+(CA100+)の活動を主導し、他の機関投資家21社とともに、韓国政府のカーボンニュートラルに関する大統領委員会に対し、パリ協定に整合するカーボンニュートラル計画の策定と、石炭火力発電の新設禁止を求めた。
【参考】【国際】機関投資家団体CA100+、先進国の電力会社に2035年カーボンニュートラル要求。再エネ大幅増(2021年10月21日)
また2022年2月には、サムスン電子、現代製鉄、LG化学等、韓国重工業大手10社の会長とCEO宛に書簡を送付。これらの企業はCA100+のエンゲージメント対象企業ではないが、APGが独自にエンゲージメントを開始している。要求事項は、野心的な気候変動戦略の策定とコミットメントだった。
そして今回の政府に対するエンゲージメントでは、株主総会での株主提案の提出を容易にする商法改正を求めている。現在の韓国の商法では、株主提案は、絶対多数決の3分の2の議決権が必要な法的拘束力のある決議のみが可と定めており、APGはこれにより、幅広いESGテーマで株主提案の障害となっていると指摘。「Say on Climate」等の勧告的決議を認めるよう働きかけている。
APGは、韓国の国会関係者に直接エンゲージメントするとともに、司法省、金融委員会とも協議を行う予定としている。
【参照ページ】Investors urge South Korea to step up its climate efforts
【参照ページ】APG urges Korean companies to take strong climate action
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