伊藤忠商事、JFEホールディングス傘下のJFEスチール、アラブ首長国連邦(UAE)鉄鋼大手エミレーツ・スチール、UAE港湾運営大手アブダビポーツ・グループ(ADPG)の4社は7月18日、ガスを活用した鉄鉱石還元の複合施設をアブダビに建設する覚書(MOU)を締結したと発表した。同様の施設の建設はアブダビ初。
伊藤忠商事、JFEスチール、エミレーツ・スチールの3社は2022年9月、低炭素還元での高品質鉄を生産する共同プロジェクトを発表済み。同プロジェクトでは、エミレーツ・スチールが、石炭の替わりに天然ガスを用いて鉄鉱石の還元を行い、さらに石油増進回収(EOR)型の炭素回収・利用・貯留(CCUS)も導入。将来的には、水素還元製鉄への置換も視野に入れている。
今回の発表では、アブダビ・ポーツ・グループ(ADPG)がプロジェクトに参画することが決定。ADPGは、プロジェクト候補地であるアブダビの国営港湾管理及び土地開発事業者を所管している。現在、10の港湾、550km2の経済・工業エリアを保有しており、建設場所を確保。ADPGとエミレーツスチールは、アブダビ国営投資会社ADQの子会社で、エミレーツ・スチールの操業でも、ADPGが原料輸入オペレーション業務を受託している。
同プロジェクトでは、原材料購入・製品出荷に向けた安定的な物流体制構築等にも着手する。新設する複合施設は、ペレットプラント、直接還元プラント、製錬炉、その他関連インフラ等の数段階に分けて建設する予定。熱間ブリケッティング鉄(HBI)や低炭素排出鉄等の原料も生産できるようにする。
伊藤忠商事とエミレーツ・スチールは、すでに6月、アブダビ経済開発省(ADDED)との間でも、同国での一貫製鉄所の設立に向けた覚書を締結済み。
【参照ページ】アラブ首長国連邦における低炭素還元鉄のサプライチェーン構築に向けAbu Dhabi Ports Groupとの4者間MOUを締結
【参照ページ】Emirates Steel Arkan, AD Ports Group, ITOCHU and JFE Steel Sign MoU geared towards the new Low-Carbon Iron Supply Chain
【参照ページ】Emirates Steel Arkan, Abu Dhabi Department of Economic Development and ITOCHU Sign MoU to Drive Sustainable Growth in the UAE's Low-Carbon Iron Supply Chain & Emirates Steel Arkan
【画像】伊藤忠商事
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