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【国際】IRENA、エネルギー転換に必要な重要鉱物の地政学リスクで報告書。サプライチェーン多様化

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は7月12日、エネルギー転換に必要な重要鉱物の地政学リスクに関する報告書を発表した。重要鉱物のサプライチェーンを多様化し、地政学的リスクを最小化すべきと警鐘を鳴らした。

 同報告書は、今後数年間の鉱物需要の増加に関連する地政学的リスクと機会を検証したもの。重要鉱物の供給が不足した場合、エネルギー転換を減速させる可能性があると警告し、サプライチェーンを多様化するための総合的なアプローチを求めた。

 同報告書では、重要鉱物の採掘と加工は地理的に集中しており、一部の国と少数の大企業が支配していると報告。そのため、外的ショック、資源ナショナリズム、輸出規制、資源カルテル、市場の不安定化、市場操作等の要因が供給不足のリスクを高める可能性があると指摘した。

 重要鉱物の採掘地域は、オーストラリアはリチウム、中国はグラファイトとレアアース、チリは銅とリチウム、コンゴはコバルト、インドネシアはニッケル、南アフリカはプラチナとイリジウムと一部の国に集中していることを示した。

 加工地域はさらに特定の地域に集中しており、中国は精製されたグラファイトとジスプロシウムの供給量の100%、コバルトの70%、リチウムとマンガンでは60%以上を占めている。また、上位5位の鉱山会社がリチウム生産量の61%、コバルト生産量の56%を支配する等、鉱業市場の寡占化が進んでいる。

 一方で、重要鉱物に関してより包括的かつ倫理的で持続可能なバリューチェーンを構築する機会であることを強調。発展途上国の政策を支援することで発展途上国は新たなビジネスの機会を獲得し、カーボンニュートラル達成に向けた世界的アジェンダを推進しつつ、レジリエンスを高めることができるとした。

 重要鉱物は世界に広く埋蔵されており、発展途上国の埋蔵量の割合は高い。例えば、ボリビアには2,100万tのリチウムの埋蔵量があるが、現在の生産量は世界の供給量の1%以下。埋蔵されている鉱物の54%は先住民の土地かその近隣にあると推定されており、地域コミュニティへの関与の必要性も強調した。

 地政学的リスクへの対策として、研究開発の投資の強化が必要だと報告。代替ソリューションの開発を促進し、資源の利用効率を高め、リサイクルと再利用の選択肢を増加させることになる。具体的には、重要鉱物の使用を最小限に抑える製品設計と、重要鉱物が使用されている製品のリサイクルと再利用を挙げた。

 最後に、エネルギー転換は、新たな鉱業の在り方を創造することが可能だと結論づけた。採掘や加工作業を行うことは、労働や人権の問題、土地の劣化、水資源の枯渇や汚染、大気汚染等、地域社会にリスクを与える。持続可能な開発を行うために、鉱業における基準を引き上げ実施するための強力な国際協力と長期的な企業の視点が不可欠だと訴えた。

【参照ページ】Diversifying Critical Material Supply Chains Minimises Geopolitical Risks

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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