スペイン航空宇宙サービスGMVと仏ITコンサルティング大手キャップジェミニは6月22日、人工衛星データを活用し、二酸化炭素と大気汚染物質の国毎排出量を推計するデータプラットフォーム「World Emission」の実証版を発表した。同プラットフォーム開発は、欧州宇宙機関(ESA)から資金提供を受けている。
各国での二酸化炭素排出量の算出は、従来、事業者から排出量を積み上げて計算する「ボトムアップ手法」が一般的。しかし、ボトムアップ手法では、国毎に方法論が異なるとともに、データや排出係数の不確実性が懸念されてきた。
そこで、World Emissionでは、欧州宇宙機関(ESA)が運用する地球観測人工衛星「コペルニクス」やNASA、JAXA等、頻繁に更新される高精度の人工衛星観測データを活用。既存のボトムアップ手法のデータを補完する役割を目指す。
欧州宇宙機関(ESA)は2022年3月、「World Emission」を開始。キャップジェミニの他、フランスの気候環境科学研究所、ドイツのマックス・プランク研究所、ベルギーのリエージュ大学、スペインのバルセロナ・スーパーコンピューティング・センター、キプロスのキプロス研究所、人工衛星データ分析スタートアップKayrros等がプラットフォームの共同開発に参画している。GMVは、プロジェクトを統括する役割を担い、7つの組織の技術調整全般を監督。トップダウン型とボトムアップ型の測定データを比較する検証設計も担当する。
World Emissionは現在、機能追加に向けた第2段プロジェクトに着手。二酸化炭素と大気汚染物質の地域・地球規模での排出インベントリ、地球上の特定地域へのズームイン機能、パイプライン、工業・電力生産現場、重要なガス・石油産地等の正確な地点の特定、人間活動に伴う人為的な排出源と自然の排出源を区別するための指標の強調表示等を機能追加していく。
【参照ページ】THE GREENHOUSE GAS AND ATMOSPHERIC POLLUTANTS EMISSION INVENTORY PLATFORM DEMONSTRATOR ‘WORLD EMISSION’ IS NOW AVAILABLE
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