欧州委員会とEU外務・安全保障政策上級代表は6月28日、安全保障・防衛の分野で、気候変動と環境悪化のインパクトに対処していく方向性を示した共同文書を採択した。
欧州委員会と上級代表は今回、気候変動による異常気象や海水面の上昇、砂漠化、水不足、生物多様性喪失、環境汚染が、パンデミックを含めた社会の不安定化をもたらし、紛争をも引き起こすリスクがあると認識。また、欧州の軍隊も、気候変動によって変化し、困難な作戦状況に直面しており、新たな安全保障面での対策が必要となってきていると伝えた。
同共同文書では、優先度の高いテーマとして4つを挙げた。
- 気候変動と安全保障のネクサスに関する信頼性が高く利用しやすい証拠に基づく分析を通じ、計画立案、意思決定、実施を強化する
- 気候変動と安全保障のネクサスを、地域や国の紛争分析に統合する等を通じ、EUの対外行動における気候変動と安全保障の課題への対応を具体化する
- 加盟国の文民・軍事活動及びインフラにおける気候変動緩和・適応策を強化し、コストとカーボンフットプリントを削減する
- EUの気候変動・環境アジェンダに沿い、多国間フォーラムを通じ、NATO等のパートナーとの国際パートナーシップを強化する
各テーマには、グリーン転換により資源や技術を巡る地政学上の競争が激化することも含まれている。具体的な対処としては、約30のアクションを提示。組織強化面では、EU衛星センター内に気候・環境安全保障に関するデータ・分析ハブを設置するとともに、EU共通安全保障・防衛政策(CSDP)のミッション及び作戦をサポートする環境アドバイザーを配置する。国及びEUレベルでの研修プラットフォームも構築する。
【参照ページ】EU proposes comprehensive new outlook on threats of climate change and environmental degradation on peace, security and defence
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