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【日本】政府、2023年度骨太方針。リスキルやジョブ型転換を重点。インパクト法人格は撤回

 日本政府は6月16日、経済財政諮問会議と新しい資本主義実現会議の合同会議を開催。「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針)」と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」を決定した。会議時間は20分間。事前に調整されていた内容を、岸田文雄首相が説明し、決定する形式となった。

 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」は、岸田内閣にとっての政策大方針を掲げるもので、2022年6月に策定された。同計画には、多数の既存の政策等が一覧ファイルのようにまとめられている。今回はその改訂版で、次年度予算編成に向けた方針といえる。骨太の方針とあわせ、各省庁にとって同計画に盛り込まれると、財務省との予算折衝を有利に進めることができるため、目玉政策の盛り込られるよう力が入る。

 その中で、新たに打ち出されるものもある。岸田内閣は、雇用改革への関心が高く、「リ・スキリングによる能力向上支援」「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」「成長分野への労働移動の円滑化」を、「三位一体の労働市場改革」と称しており、今回も雇用関連が強調された。

 リスキル政策では、今後5年以内を目途に、国の教育支援予算を、現在75%を占める企業経由ではなく、個人単位で給付が受けられるものを拡充。特に、民間教育会社が実施するトレーニングコースや大学が実施する学位プログラム等を含め、業種・企業を問わずスキルの証明が可能なOff-JTでの学び直しに重点を置き、デジタル上での資格情報の認証・表示の仕組み(オープンバッジ)の活用の推奨を図る考え。教育訓練給付では、IT、データアナリティクス、プロジェクトマネジメント、技術研究、営業/マーケティング、経営・企画、観光・物流等の分野を注力分野とし、補助率や補助上限を引上げる。将来的には、民間に在籍するキャリアコンサルタントの一部にも、支援措置の妥当性の確認の役割を担わせる可否の検討も進める。企業内のリスキルでは、訓練機会に乏しい非正規雇用労働者等のリスキル支援を充実させる。

 新型コロナウイルス・パンデミックで予算投下が大幅に増加した雇用調整助成金では、助成が長期にわたり継続する場合、労働者の職業能力の維持・向上や成長分野への円滑な労働移動を阻害するおそれがあることを考慮し、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくするよう、助成率等の見直しを行う。具体的には、教育訓練・休業による雇用調整の場合、給付期間は1年間で100日まで、3年間で150日までとの規定を、例えば30日を超えるような雇用調整となる場合には、教育訓練を求めることを原則とし、例外的にその日以降に休業によって雇用調整を行う場合は助成率を引き下げる等の見直しを検討する。

 企業の人事制度では、職務給(ジョブ型人事)を推奨し、2023年中に、多様な例を示す。中小・小規模企業等の導入事例も紹介する。退職時の失業給付制度では、自己都合で離職する場合は、求職申込後2ヶ月や3ヶ月は失業給付を受給できないルールを変更し、1年以内にリスキルに取り組んでいた場合等では、会社都合の場合と同じ扱いとする等を検討する。また、一部の企業で、自己都合退職時に、退職金減額、勤続年数・年齢が一定基準以下であれば退職金を不支給等の制度が運用されていることを問題視し、是正に動く。退職所得課税でも、勤続20年で、勤続1年当たりの控除額が40万円から70万円に増額される現行制度が、労働移動の円滑化を妨げているとし、改正する。

 中小・小規模企業の賃上げでは、適正な価格転嫁を第一のソリューションとする。その上で、生産性向上への助成金や減税措置も継続する。

 スタートアップの分野では、社会起業家を促進するため、2022年度の実行計画では、米国での「ベネフィットコーポレーション」等の新たな法人格制度を整備する考えを示していたが、今回の実行計画では撤回。替わりに、スタートアップ支援育成プログラム(J-Startup)のインパクトスタートアップ版を早期に発足させるとし、政府推奨ラベルを付与する政策とした。

【参照ページ】経済財政運営と改革の基本方針2023
【参照ページ】新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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