国際エネルギー機関(IEA)は6月9日、仏ベルサイユで第8回エネルギー効率国際会議を開催。45カ国政府が出席。閣僚級が30人以上とCEO50人以上を含む合計90カ国から600人以上が参加。終了後に閣僚声明を発表した。
今回の閣僚声明では、エネルギー効率が、生活水準とエネルギー安全保障の改善、及び2050年カーボンニュートラル達成のためにクリーンエネルギーの移行を加速する上で、重要な役割を果たすと強調。現在年間2.2%のエネルギー効率改善率を、2030年までに年間4%以上にまで加速させることで合意した。現状から約2倍に水準となる。
同声明では、実効性のある政策を十分に動員し、消費者や企業の行動変容を促し、特に弱者や低所得世帯の個人を支援するための的を絞った行動を取らなければならないと主張。加えて、優先度の高い分野として、デジタル化、需要主導型ソリューション、送電網の近代化への投資を特定した。さらに、参加した閣僚は、エネルギー貧困への対応、クリーンクッキングの促進、エネルギーに関連するジェンダー問題へのアクションの重要性も強調した。
また、同声明では、公共部門がエネルギー効率向上のロールモデルとなり、産業、サービス、建物、輸送、農業等の他の部門に追随を促す投資を推進する立場であることを明確化。この観点から、IEAは最近「ソーンダーボルグ行動計画」を発表してリ、今回の会議でも歓迎された。
これらを踏まえ、同会議では、成果物として「ベルサイユ10X10アクション」を発表した。
- 測定と診断:電力消費量をデジタル化し、アプリで接続・報告することで、成果ベースのパフォーマンスを実現する
- 認識とナレッジ:実用的なアプリケーション、ワンストップ助言、ライトハウスの事例を共有する
- スキルアップ:移行を可能にするためのアップスキル、リスキル、リソースの増加、エネルギーサービス会社の設立を支援する
- 総所有コスト(TCO)の設計・決定:建物の総所有コスト(TCO)及びプロジェクト意思決定を考慮する
- 資金調達のギャップ:グリーンな設備投資(CAPEX)とブラウンな営業支出(OPEX)を節約するためのギャップを解消する
- ロールモデルとしての政府:公共施設やインフラがロールモデルとなる
- 規制:強制的な手法を用いる場合は、予測可能で十分長い期間を設定する
- グリッド強化:送電網の高速化は、再生可能エネルギーへのアクセスに必要であり、特に産業用で重要となる
- 既存の技術で大きな問題を解決する:今あるものを活用し、最も安価なソリューションから始める
- 新しいネットゼロを構築する:既存の技術を活用し、新築物件のカーボンニュートラル化を実現する
今回の会合では、初日にIEAから特別報告書「エネルギー効率:行動のための10年」が発表されている。同報告書では、省エネ事業は、世界中で数千万人を雇用しており、2030年までにさらに1,200万人の雇用創出につなげられると伝えた。
【参照ページ】At IEA conference, 45 governments endorse goal of doubling global energy efficiency progress by 2030
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