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【国際】世界経済フォーラム、金融テクノロジーのシステミックリスクに関する報告書を発表。サイバー攻撃、ソーシャルメディア、BNPL

 世界経済フォーラム(WEF)は3月30日、テクノロジー主導のサービスによる金融システム全体のシステミックリスクに関する報告書を発表した。非金融機関の参入による金融システムの断片化、地政学的な要因によるサイバー攻撃の増加、後払い決済(Buy Now Pay Later)の債務、ソーシャルメディアと投資家のリスクを分析し、それぞれに対して緩和策を提案した。

 今回の発表は、政府、金融業界、規制当局向けにテクノロジーが金融システム全体に及ぼすリスクに関して分析したもの。WEFとデロイトが共同で作成した。急速に進化するテクノロジー主導のリスクに対して、テクノロジーを活用し、官民の協力体制を強化することで対策を行う重要性を訴えた。具体的には、金融システムの安定性と信頼を強化する商品とサービスの推進、エコシステムレベルでの技術主導のリスクを特定するためのサイロ化された情報の分析、地政学的、地域的な不確実性を反映した予測分析能力の確保と適用を挙げた。

 同報告書では、まず、金融システムの断片化によりテクノロジー主導のリスクがシステミックリスクに発展する可能性があるとした。as-a-serviceモデルにより、リスクマネジメントを行う規制対象の金融機関と、金融商品を商品化、流通させる非金融機関が分断されることによりリスク監督が不十分となる可能性が高まる。また、テクノロジー企業が提供する後払い決済により従来とは異なる金融機関なしの与信サービスのエコシステムが増加しており、クレジットデフォルトリスクが増加しているとした。

 金融システムの断片化により管理すべきステークホルダーが増えることで金融機関のデューデリジェンスのコストと複雑さが増加しつづけると報告。新規参入の非金融企業の中にはリスクマネジメントは従来の金融機関に任せ、長期的なレジリエンスや透明性の確保よりも短期的な利益や消費者の利便性を追求する企業も存在する。デューデリジェンス実施のためのスピード、コストを効率化しつつ、消費者への透明性を確保することが金融機関にとって継続した課題になるとした。

 また、地政学的な要因によるサイバー攻撃が増加。国家経済にダメージを与える目的でインフラなど国家に重要なサービスを提供している企業が標的にされやすく、これらの企業に資金提供をする金融機関のデフォルトリスクが高まる可能性がある。加えて技術系人材の獲得競争の激化により対策が不十分となるリスク、気候変動リスクを評価できていない債権の増加によるデフォルトリスクも指摘した。緩和策の1つとして、サイバーレジリエンスを構築するための集中的なリソースセンターを開発することを挙げた。現在の金融機関向けのサイバーセキュリティセンターは地域ごとに設立されており、それを拡張することで対応ができる。

 3つ目に、後払い決済の債務の増加に警鐘を鳴らした。フィンテック企業と小売業者の連携によりクレジット承認プロセスが緩和され、Eコマースのアクセスの簡易さから需要が増加。2025年までに世界のEコマースの取引量の12%を占めると予測されている。消費者に無金利の分割払いという信用を与える一方で、借り過ぎる消費者の拡大や後払い決済の証券の増加によるデフォリルトリスクを指摘。インデックス開発世界大手米S&Pグローバルの調査によると、証券化された後払い決済の資産は欧州で増加傾向であり、信用リスクに警戒が必要だとした。このリスクへの対策として、このリスクを軽減するために、格付け機関の評価項目の中に、証券化された後払い決済の資産に関する評価を取り入れることを提案した。

 最後に、ソーシャルメディア上で盛んに行われる株式投機に言及。資産価格が企業の本質的な価値とは大きく異なるミーム株が誕生している。ツイッターやReddit等のアルゴリズムでコミュニティ形成を促すソーシャルメディアのプラットフォーム上では、同様の意見を持つユーザー同士で頻繁にコミュニケーションが行われるため、投機的な判断を行う機会が強化され、株価の変動幅や個人のリスク選好度の上昇に寄与していると指摘。対策として、サードパーティのデータプロバイダーからのリアルタイムのデータを活用し、ミーム株に関する警告を行う機械学習アルゴリズムの利用の拡大を提案した。

【参照ページ】Cyberattacks, Social Media and Buy Now Pay Later: New Report Explores Solutions for Tech Risks in Financial System

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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