味の素と東京工業大学は5月24日、再生医療素材やバイオ医薬用等に応用可能なたんぱく質を高分泌生産する微生物の短期間でのスクリーニング法の共同開発に成功したと発表した。今回の検証結果は、材料化学、ナノテクノロジー、医学領域等の査読付科学誌「Small」にも掲載された。
従来のバイオ医薬用のたんぱく質生産では、安価なコストや動物由来成分を含まない等を背景に、微生物が活用されてきた。しかし、たんぱく質を高効率で生産する細菌や酵母等、微生物の株の培養・評価や、目的となるたんぱく質生産プロセスの確認には、長期間を要することが課題となっていた。
両者は今回、味の素の先端バイオ技術と、東京工業大学が独自開発したバイオセンサー「Quenchbody(Q-body)」と融合したスクリーニング法を採用。直径数十マイクロメートルの微小な液滴内で培養した微生物が、目的となるたんぱく質を生産したことを Q-body で検出し、その微生物を数十万単位で一度に培養・評価することが可能となった。これにより、培養・評価や、目的となるたんぱく質生産プロセスの確認作業の所用時間を大幅に短縮できる。
(出所)味の素
また味の素は4月7日、ゲノム大規模構築技術開発スタートアップLogomixとともにカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)に寄与するアミノ酸製法の共同開発を行うと発表した。両社は、アミノ酸発酵に関する技術・知見とゲノム大規模構築技術を融合。発酵工程での二酸化炭素排出量を削減したアミノ酸製法の開発をする。
味の素は、2050年までにスコープ3を含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)達成を目標として掲げている。今回のアクションもその一環。
味の素は今回、中核事業のアミノ酸生産での低環境負荷生産技術や、副産物のサーキュラーエコノミー化、世界の発酵工場でのアミノ酸生産バイオサイクル導入を実施。一方Logomixは、ゲノム大規模構築技術「Geno-Writing」により、バクテリア、酵母、動物培養細胞、ヒト幹細胞等、様々な生物種の機能改変した細胞や細胞システムを提供する。
【参照ページ】味の素㈱、東京工業大学との共同研究でたんぱく質の高効率生産に向けた微生物のスクリーニング法を開発
【参照ページ】味の素㈱、バイオスタートアップの㈱Logomixとサステナブルなアミノ酸製法の共同開発を開始
【画像】味の素
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