気候変動対応を企業に求める欧州機関投資家団体IIGCCは5月16日、プライベートエクイティ向け「ネットゼロ投資フレームワーク(NZIF)」を発行した。リミテッドパートナー(LP)、ゼネラルパートナー(GP)、投資先企業の間で、カーボンニュートラルに関する目標設定、エンゲージメント、報告の体系をまとめた。
IIGCCは、2019年5月に「パリ協定と整合した投資イニシアチブ(PAII)」を通じ、2021年3月に「ネットゼロ投資フレームワーク」を発行している。しかし同ガイダンスは、上場株式、債券、不動産のアセットクラスを念頭に作られており、プライベートエクイティに適用することが容易ではなかった。そのため、プライベートエクイティ(PE)の特有の状況に合わせたフレーワムワークが今回整備された。
【参考】【国際】IIGCC、ネットゼロ投資フレームワーク策定。すでに920兆円の投資家がコミット。世界展開へ(2021年3月12日)
特に画期的なのが、GPとLPのそれぞれで、投資先企業への影響力が異なる点を考慮し、「影響力バンド(帯)」という概念を新設した点。取締役会での議決権の割合に応じてGPに関しては「1a」「1b」「1c」に3分類。LPに関しても、ファーストクローズかセカンドクローズか、コインベストメントかで「2a」「2b」「2c」に3分類した。それぞれに応じて目標を設定すべき内容を変えた。
目標設定の種類に関しては、パリ協定整合性のある気候変動目標を設定した投資先企業の割合を測る「ポートフォリオ・カバレッジ目標」、エンゲージメントを実施している投資先企業の割合を測る「エンゲージメント閾値目標」、機構ソリューションへの投資割合を測る「気候ソリューション配分目標」、ポートフォリオのカーボンフットプリント(CFP)に関する中長期的な削減目標「ポートフォリオ脱炭素レファレンス目標」の4つを用意した。
今回のガイダンスは、米Ceresと、英Anthesisが作成を支援した。
【参照ページ】Net Zero Investment Framework Component for the Private Equity Industry
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