エーザイは5月25日、顧みられない熱帯病(NTDs)やマラリア等の新薬開発支援に向け、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)に対し、合計6.25億円を拠出すると発表した。医薬品アクセスの一環。
NTDsとは、熱帯地域、貧困層を中心に蔓延する寄生虫や細菌感染症のこと。エイズ、マラリア、結核の3大感染症と比べ、国際的な関心が薄く、十分な対策がなされずにいた。世界保健機関(WHO)は、ブルーリ潰瘍、シャーガス病(アメリカトリパノソーマ)、デング熱、メジナ虫症(ギニア虫症)、トレポネーマ感染症(イチゴ腫含)、アフリカトリパノソーマ(睡眠病)、リーシュマニア症、ハンセン病、リンパ系フィラリア症(象皮病)、オンコセルカ症(河盲症)、住血吸虫症(ビルハルツ住血吸虫)、土壌伝播寄生虫症(腸内寄生虫)、トラコーマ、嚢尾虫症、包虫症、食物媒介吸虫類感染症、狂犬病、マイセトーマ、毒蛇咬傷、疥癬およびその他の外部寄生虫の20疾患群をNTDsと指定している。
GHIT Fundは、2013年4月に、エーザイ等の日本の製薬企業、日本政府、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、国連環境計画(UNEP)、ウェルカム等のパートナーシップのもとで設立した基金。日本と海外研究機関の連携を促進し、発展途上国の感染症に対する新薬開発を支援している。2013年度から2017年度の第1期、2018年度から2022年度の第2期に続き、今回が2023年度から2027年度までの第3期となる。
エーザイは、第1期から第3期までで合計10億円を拠出。 顧みられない熱帯病(NTDs)やマラリア等の感染症に対する新薬開発には、疾患特有の開発の困難さや市場性といった課題があるとし、同基金を通じ、マイセトーマやマラリア等に対する23の新薬・ワクチン開発プロジェクトを進めてきた。
マイセトーマに対する新薬開発では、医療NGO顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ(DNDi)と協働。同社創製のE1224(一般名:ホスラブコナゾール)のフェーズ2臨床試験をスーダンで実施した。また、抗マラリア薬の候補化合物であるSJ733について、ケンタッキー大学と協働し、フェーズ2臨床試験を実施している。
【参照ページ】顧みられない熱帯病およびマラリアの新薬開発に向けた取り組みとグローバルヘルス技術振興基金第三期への資金拠出
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