チョコレート世界大手米ハーシーは4月27日、コートジボワールでの所得アクセラレーター・プログラムの開始を発表した。現金給付(CT)と農村の貯蓄貸付組合(VSLA)への投資を通じ、カカオ農家の収入増加を支援する。
同プログラムの設計では、コートジボワールとガーナのカカオの生産管理を行うコーヒー・カカオ評議会(Conseil du Cafe-Cacao)、レインフォレスト・アライアンス(RA)、ケア・インターナショナルも協力。カカオ農家の貧困に対処するための実績ある多面的なアプローチを提供すると同時に、持続可能な農法をサポートし、児童労働のリスクも軽減する。
まず、同社は、レインフォレスト・アライアンスと提携し、同社のサプライチェーン内の約5,000のカカオ農家世帯に、1世帯あたり年間最大600米ドルのモバイル現金給付を配布する。これらの現金給付は、世帯に追加の収入源を提供するもので、農場の収益性を高め、予期せぬ環境状況に対する回復力を高める役割を果たす。給付要件としては、持続可能で再生可能な農場管理手法の採用を求める。
また、同社は、ケア・インターナショナルと各地のカカオ農家協同組合の支援を受けて、サプライチェーン内の約200の既存の貯蓄貸付組合(VSLA)を強化するとともに、350のVSLAを新設する計画。これら合計550のVSLAは、推定15,000人の組合員とその家族をサポートすることになる。これらの仕組みにより、VSLAの組合員になってから3年以内に、参加者一人当たりの貯蓄額を増加させることを目指したプログラムを提供していく。特に女性やシングルマザーの組合員に、正規の銀行やマイクロファイナンスのサービス・アクセスが乏しい農村で、貯蓄を増やし、低金利で融資を受けるための地域構造を構築していく。
同プログラムの運営では、進捗状況を測定・評価するために、コーヒー・カカオ評議会が委員長を務める学習アドバイザリーコミッティから提供されるツールや専門知識を活用する予定。プログラムの進捗に関する最新情報は、同社のウェブサイトおよび年次ESG報告書で開示していく。
同社は今回、現金給付を通じて金融リテラシーや農業ビジネスに関するトレーニングを受け、貯蓄貸付機関へのアクセスを高めることで、農家は世帯収入が増加し、家計の意思決定に女性が関与する可能性が高いという調査結果を踏まえたことを強調。コートジボワール政府の「持続可能なカカオのための国家戦略(SNCD)」に盛り込まれている目標に合致することもアピールした。
さらに同社は同日、コートジボワールの政府機関および非政府組織と官民パートナーシップを結び、カカオ栽培地域に小学校10校を建設するプロジェクトと、マビ・ヤヤ自然保護区の保全に向けた重点プログラムを実施することも発表した。
学校建設では、コートジボワール大統領夫人ドミニク・ウアタラ氏が議長を務める児童売買・搾取・児童労働対策全国監視委員会(CNS)や、国際ココアイニシアチブ(ICI)と協力。マビ・ヤヤ自然保護区の保全では、コートジボワールの公園・保護区財団と提携し、同国の南東部カカオ生産地域の中心部に2019年に創設されたマビ・ヤヤ自然保護区(RNMY)における保護活動を進める。特に、ハーシーの投資は、劣化した土地の約1000ヘクタールの植え替え、RNMY内の生物多様性センサスの実施、既存の生態系モニタリング能力の強化、地域コミュニティの支援への参加等、イヴォリアの公園・保護区事務所(OIPR)が実施する保護・管理活動を支援する
チョコレート大手に対しては、国際環境NGOマイティ・アースが3月、「チョコレート・スコアカード2023」で格付を発表している。ハーシーは上から2番目の格付評価だった。
【参考】【国際】NGO「チョコレート・スコアカード2023」。評価対象の日本企業8社スコア低く(2023年3月30日)
【参照ページ】HERSHEY LAUNCHES INCOME ACCELERATOR IN CÔTE D'IVOIRE
【参照ページ】HERSHEY TO EXPAND COMMITMENT TO CHILD WELLBEING AND ENVIRONMENTAL CONSERVATION IN CÔTE D'IVOIRE
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら