機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は5月22日、G20財相に対し、2030年までに農業補助金を気候・自然の目標に適合させるよう要請する投資家声明を発表した。
FAIRRは今回、パリ協定と昆明-モントリオール生物多様性枠組みを踏まえ、農業補助金の改革にコミットするよう要請した。特に、昆明-モントリオール生物多様性枠組みでは、ターゲット18で「2025年までに特定し、比例的、公正、公平、効果的かつ公平な方法で生物多様性に有害な補助金を含むインセンティブの廃止、段階的廃止、改革」と言及されていることを踏まえ、農業財政改革が必要と伝えた。
同声明では、国連食糧農業機関(FAO)、国連開発計画(UNDP)、国連環境計画(UNEP)が2021年の報告書の中で、各国政府が、価格歪曲や環境的・社会的に有害な農業支援を年間約5,000億米ドル行っていると報告したことを想起。「有害な」補助金は、特定の高炭素農産物の過剰生産と過剰消費を助長しており、補助金制度が自然に与える損害は、年間40億米ドルから60億米ドルと見積もった英ダスグプタ・レビューにも触れた。
【参考】【イギリス】政府、生物多様性と経済の包括分析レポート「ダスグプタ・レビュー」発表。今後政策化(2021年2月8日)
具体的な要請事項としては4つを挙げた。
- 公共財や環境サービスを提供するコストに見合った財政支援をG20諸国や農家に提供するため、測定可能でパフォーマンスに基づく条件を用いる
- 気候や環境を犠牲にして特定の生産物の収量を優先するインセンティブを転換し、持続可能な農業に価値を置く新たな金銭的インセンティブにシフトする
- 関連する温室効果ガス排出量が多い単品目移転(SCT)の生産指標と財政政策を切り離す
- 公正な移行(ジャスト・トランジション)メカニズム、または改革によって影響を受けるステークホルダーを支援するために必要な資金を確保するための資金に利用できる資金を増やす
【参照ページ】G20 Agricultural Subsidies Statement
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