日本製鉄は、九州製鉄所八幡地区と、瀬戸内製鉄所広畑地区で、高炉プロセスから電炉プロセスへの転換を本格検討すると発表した。2021年3月に公表した「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」の一環。
同社はすでに、大型電炉での高級鋼製造を、2022年10月に広畑地区に新設した電炉による商業運転を開始。世界初となる電炉一貫でのハイグレード電磁鋼板の製造・供給が可能となっている。また、茨城県神栖市の技術開発本部波崎研究開発センターで、生産能力10tの小型電気炉を設置し、2024年度から試験を開始する計画。
今回同社は、日本政府が掲げる2030年二酸化炭素排出量削減目標の46%減に向け、一部製鉄所での電炉プロセスへの早期転換が必要と判断。九州製鉄所八幡地区及び瀬戸内製鉄所広畑地区を候補地として検討することを決めた。社内の検討体制を整備し、広く社外の関係先も含めた検討を加速化する。
同社は今回、カーボンニュートラル鋼材の需要増に応えていくとの見方も伝えた。また、多額の設備投資費用が必要となり、原料や電力をはじめとする操業コストの上昇により、生産コストも大幅に増大する見込みとした。
同社は他に、「高炉水素還元」「水素による還元鉄製造」の2つも進めている。「高炉水素還元」では、2022年5月から東日本製鉄所君津地区で試験高炉への高温水素吹込み試験を開始。さらに、同地区で、稼働中の大型高炉実機を用いた、実証試験を2026年1月に開始する予定。「水素による還元鉄製造」は、技術開発本部波崎研究開発センターに小型シャフト炉を設置し、水素で低品位鉄鉱石を還元する試験を2025年度に開始する。
【参照ページ】高炉プロセスから電炉プロセスへの転換に向けた本格検討を開始
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