資源世界大手豪BHPは5月4日、同社が閉鎖・修復した西オーストラリア州南部のミネラルサンド採掘場ビーンアップ鉱山を対象に、鉱業セクター初の自然会計原則を適用したケーススタディを発表した。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)開示に向けた一環となっている。
同社は今回、同報告書の作成に際し、自然資本会計(NCA)のフレームワークとして、国連の環境経済勘定(SEEA)、Capitals Coalition(資本連合)のフレームワーク、英自然資本委員会が開発した企業自然資本会計(CNCA)のフレームワークを参照。SEEAが、オーストラリア気候変動・エネルギー・環境・水資源省(DCCEEW)が開示ルールとして採用していることも強調した。
これらを踏まえ、資源採掘セクターでのNCAの在り方を独自に整理した。またレポートは、豪環境コンサルティングSyrinx Environmentalが作成。また、豪国立研究機関CRC TiME、豪連邦科学産業研究機構(CSIRO)、カーティン大学、西オーストラリア大学、西オーストラリア大学の生物多様性科学研究所が作成に協力した。レポートは120ページに及ぶ大作となった。
今回分析対象としたミネラルサンド採掘場ビーンアップ鉱山は、グリーンフィールド探鉱ライセンス地域を除き、BHPが所有、リース、管理している操業資産面積が650万ha弱。実際に採掘作業を行っている箇所は、全体の2%程度。また、牧草地や自然保護のために確保された土地等、事業用ではない土地利用の場所も含まれている。
分析ゴールは、ネイチャーポジティブに置き、その定義として、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)と自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が表現している「現在の状態よりも優れた自然の将来の状態(生物多様性、生態系サービス、自然資本など)を記述するハイレベルな目標および概念」とした。これには、自然破壊を食い止め、逆転させ、健康で機能する生態系を支える土地と水の管理方法も含まれるとした。
分析結果は、鉱山の修復活動による生態系の種の増加や生息地の増加等、当初想定していた成果に加え、炭素貯蔵量の純増や、採掘場を流れる水質の大幅改善等でポジティブな成果があった。
同社はネイチャーポジティブに向け、管理する土地と水を2030年までに30%以上を保全・再生することを目標としている。今回のアクションはその一環。
【参照ページ】BHP case study a first for natural capital accounting in mining
【レポート】NATURAL CAPITAL ACCOUNTING FOR THE MINING SECTOR BEENUP SITE PILOT CASE STUDY
【画像】BHP
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