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【国際】G7農相声明「短期施策が中長期施策を妨げてはならない」。持続可能な食料システム重要

 G7農相は4月22日と23日、宮崎県宮崎市で会合を開催。最終日に共同声明と「宮崎アクション」を発表した。ウクライナ戦争による穀物、燃料及び肥料の価格⾼騰等で世界的に⾷料安全保障に与えている破壊的な影響を深く懸念すると同時に、短期的な課題への対処が、よりレジリエントで持続可能な農業・⾷料システムの達成に向けた⻑期的な⽬標に注⼒することを妨げてはならないとした。

 同共同声明では、ウクライナのゼレンスキー⼤統領の「ウクライナからの穀物」イニシアチブ並びに国連及びトルコの仲介による⿊海穀物イニシアティブ(BSGI)の重要性を認識。短期的な施策としては、ウクライナを⽀援し、ロシアのウクライナに対する違法な侵略戦争が、世界の⾷料安全保障と影響、とりわけ脆弱な途上国に与える悪影響を緩和することと言及した。

 同時に、中⻑期的には、レジリエントで持続可能な農業慣⾏への急を要する変⾰を継続し、増加を続ける世界⼈⼝を養うために⼗分で持続可能な⽣産を実現するとともに、農業・⾷料⽣産による環境への負の影響を軽減し正の影響を⾼めていくことが不可⽋とした。

 実現のためには、農産品や投⼊財の国際、地域、そして地元のサプライチェーンを多様化することの重要性を強調。既存の国内農業資源を有効活⽤し、⾷料貿易を円滑化しつつ、地元の、地域の、そして世界の⾷料システムを強化する方向性を追求すべきと指摘。⾷料の損失・廃棄の削減に向けた取組を継続するとした。さらに栄養及び健康的な⾷事の推進の重要性を強調した。

 また気候変動と生物多様性喪失の観点から、農業・⾷料システムのサステナビリティを迅速に向上させることが⾮常に重要と認識。あらゆるイノベーションの実施や、緑肥、輪作、不・低耕起栽培の利⽤、管理の⾏き届いた様々な牧草地の保全、有機農業や、化学農薬のみに依存しない統合的害⾍管理(IPM)を提唱。メタン削減、エネルギー消費量削減、炭素隔離等も同時進めることを謳った。その一環として、持続可能で効果的な⽔管理及び信頼できる⽔インフラの重要性も盛り込んだ。加えて、農業では万能の解決策はないことを認識し、地元の環境・農業条件に最も適した措置と慣⾏の組み合わせを促進・実施するとした。実現に向けては、⺠間セクターによる研究開発の促進、新規及び既存の慣⾏の拡⼤や普及、及び民間ファイナンスがカギとした。

 ワンヘルス・アプローチでは、「ワンヘルス共同⾏動計画(2022-2026)」の⽬的を⽀持。薬剤耐性(AMR)、越境性の動物媒介感染症及び植物疫病に対する措置を、国際的な協調、科学的根拠及びリスク分析に基づいて推進・実施することや、それらの分野における透明性を確保することの重要性も強調した。

 持続可能な農業・食料システムと農村新興では、⽊材やその他産品のための持続可能な森林経営や農業観光(アグリツーリズム)等の農業に付随する収⼊の多様化の促進を提唱。実現に向けた公共インフラの整備も促進するとした。

 同時に発表された「宮崎アクション」は共同声明の要点を整理したものとなっている。また野村哲郎・農林水産相は、米ビルサック農務長官及びビボー・カナダ農業・農産食料相と会談し、各々との間で持続可能な農業の実現に関する定期対話を設置することに合意した。

 さらに、野村・農林水産相は4月20日、ラリオ国際農業開発基金(IFAD)総裁と会談。民間企業と協働し、発展途上国を含む世界中の小規模生産者と食料システムを持続可能なものとするためのイニシアチブ「民間セクター・小規模生産者連携強化(ELPS)」の立上げで合意した。G7農相共同声明では、若者、⼥性、先住⺠、その他の⼗分な発⾔⼒のないグループが農業・⾷料セクターに関⼼を持ち、その参画を後押しするための措置を講じることにコミットし、訓練、普及サービス、知識共有や教育、並びに資⾦への平等なアクセスを強調している。

【参照ページ】G7宮崎農業大臣会合及び農林水産大臣等の国内出張の結果概要について
【参照ページ】持続可能な農業に関する日米対話に係る共同声明に合意しました
【参照ページ】持続可能な農業生産及び食料システムの実現に向けた食料安全保障のための日カナダ政府間の協力強化に係る共同声明に合意しました
【参照ページ】持続可能な農業生産及び食料システムの実現に向けた食料安全保障のための日カナダ政府間の協力強化に係る共同声明に合意しました

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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