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【中国】明陽智能、陸上・洋上風力で存在感拡大。富山県入善洋上風力やイタリアでも採用

 中国風力発電タービン大手の明陽智能(MingYang Smart Energy)は、洋上風力と陸上風力の双方で快進撃を続けている。特に洋上風力はシーメンスやGE、ベスタス等の欧米勢が優勢だったが、中国勢がトップ争いに参加し始めてきた。

 4月3日、富山県入善町の「入善洋上風力発電所」で基礎工事が始まった。建設するのは3MW級を3基。出力制御により最大7.5MWとして運用する。プロジェクトの発表は、まだ国が再エネ海域利用法を制定する前の2018年12月。同法を活用せず、富山県の条例で3年毎に海底占有許可を更新する形で行うことが決まった。

 同プロジェクトは当初、三井E&Sエンジニアリングとウェンティ・ジャパンのプロジェクトとして始動。総事業費は約50億円。設備容量は2MW風力タービンを4基。北都銀行等の地方銀行によるプロジェクトファイナンス方式が内定し、2021年1月から稼働、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用して北陸電力に売電する計画だった。しかし、三井E&Sホールディングスは11月に改訂した「三井E&Sグループ事業再生計画」の中で風力発電事業からの撤退を表明。同12月には、傘下の三井E&Sエンジニアリングが同プロジェクトから撤退すると発表された。ウェンティ・ジャパン単独でのプロジェクトの見直しが始また。

【参考】【日本】三井E&S、富山県入善町での洋上風力発電建設事業から撤退。ウェンティが継続も遅れ必須(2019年12月16日)

 同プロジェクトと並行して進められたのは、洋上風力発電施設建設を担う「SEP船」の建造だ。清水建設は2019年7月、高効率の自航式SEP船の建設を発表。2018年10月から欧州GustoMSCの協力を得て仕様検討・設計を行ない、建造はジャパンマリンユナイテッドに発注したことを明らにした。建造費は500億円。入善洋上風力発電所の建設を受注した清水建設は、2022年2月、新たに建設計画として決まった3MW級を3基の風力タービンを明陽智能に発注することを内定した。

 清水建設は2022年10月、SEP船「BLUE WIND」の完成を発表。さらに2023年3月、JFEエンジニアリングと北陸電力も同プロジェクトに出資することが決まり、ウェンティ・ジャパンとの3社出資体制となった。出資比率は非公表。3月20日には、NECネッツエスアイが送電ケーブルの管路設置工事を受注した。3月30日には明陽智能の風力タービンが中国を出港。4月3日はBLUE WINDが現地に登場し、5日から基礎工事が始まった。2023年9月からの運転開始を予定している。総事業費は約61億円。民間企業が100%出資して港湾等を除く一般海域に洋上風力発電所を設置する案件としては国内初となる。

 清水建設のBLUE WINDは、その後、北海道の石狩湾に向かい、国内最大級の商用洋上風力発電所となる石狩湾新港洋上風力発電施設の施工を行うことが計画されている。

 明陽智能は2006年に創業。こうして日本の洋上風力発電に中国メーカー製が初めて採用された。同社は2022年4月には、イタリアのトロントで計画されている設備容量30MWの「ベレオリコ洋上風力発電プロジェクト」でも採用が決まった。同社は間もなく、東京に完全子会社を設立し、ライフサイクル全般の運用・保守を含む運用のローカライズを実施する体制を整える。

 同社は2022年、中国で17GWの新規受注を獲得し、中国一となった。そのうち洋上風力発電が6.5GWを占める。さらに同社は4月17日、洋上風力タービンのジャケット(基礎部)に養殖漁業用のネットゲージ・システムを備えたジャケット基礎を工場で建造開始したことも発表。ジャケット基礎の内部に備えられる養殖エリアは5,000m3で、最大150,000匹の魚を飼育することが可能。自動給餌、監視等の遠隔機能まで備わっているという。ジャケットは建造後、2023年後半に広東省で建設中の明陽陽江青州4洋上風力発電プロジェクトに設置することになっている。

 同社は3月26日には、中国初の深海浮体式洋上風力発電機「MySE7.25-158」が珠海福禄埠頭に曳航され、海南島文昌市の海域で設置・試運転に入った。同発電所は、中国の油田・ガス田に送電するための発電所で、沖合直線距離136km、水深120mの海域に設置される。設備容量は7.25MW。同発電機は、50年に1度の究極の風速と10分間の平均風速60m/sを超える風力に耐えられると標榜している。初期モデルはすでに2021年に納品実績がある。

【参考】【中国】明陽智能、中国第1号の浮体式洋上風力発電機を納品。陽西沙扒に敷設(2021年6月6日)

 陸上風力発電機では、同社は1月、世界最大の設備容量8.5MW機「MySE8.5-216」を発表。発電効率と経済性を売りに、世界中に販売してく考え。

【参照ページ】世界最大級・高効率の自航式SEP船を建造
【参照ページ】世界最大級のSEP船「BLUE WIND」が完成
【参照ページ】入善洋上風力発電事業への出資参画について
【参照ページ】日本初の民間資金による一般海域洋上風力発電事業「入善洋上風力発電事業」への出資参画

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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