EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は4月18日、2022年2月8日に欧州委員会が提案した「欧州半導体法(EU Chips Act)」で政治的合意に達した。合計で7.3兆円の予算を用意する。今後、双方での立法審議に入る。
同法は、米国で2022年8月に半導体法が成立されたことを受け、EUとしても半導体への財政支援を強化するもの。米国の半導体法では、研究、開発、製造、人材育成で527億米ドル(約7兆円)の予算を確保している。EU半導体法は、米国半導体法に対抗しつつ、EU域内での半導体の設計・製造を促進する。
【参考】【アメリカ】半導体法成立。国内生産強化に5兆円。研究開発・人材育成で雇用強化にも(2022年8月11日)
EUは今回、欧州半導体法を通じ、現在の世界市場シェアを2030年に20%に倍増させる目標を設定。3つの柱を打ち上げた。
まず、研究から実用化の間をつなぐイノベーション促進で「Chips for Europe Initiative」を発足。EU予算を62億ユーロ(約9,200億円)確保し、現行の26億ユーロから引上げる。そのうちの33億ユーロは、現行の多年次財政枠組みが終了する2027年までの期間について合意した。設計プラットフォームの開発や、実証ラインの設置等を支援する。欧州全域に「コンピテンス・センター」も設置し、特に中小企業の設計能力の向上とスキル開発を支援する。
2つ目の柱は、半導体製造そのものの支援に430億ユーロ(約6.4兆円)を用意。EU域外からの投資も呼び込む。補助金はEU加盟国を経由せず、欧州委員会から直接投下される。実行のため、統合生産施設とオープンEUファウンダリーの枠組みも定める。
3つ目の柱は、加盟国と欧州委員会の間の調整メカニズムの確立。半導体の供給モニタリング、需要予測、不足予測、必要に応じて危機管理メカニズムを制度面で整備する。
【参照ページ】Commission welcomes political agreement on the European Chips Act
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