公正取引委員会は3月31日、グリーン社会の実現に向けた企業行為に関し、独占禁止法上の考え方を明確にするため、「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」を発表。「基本的に独占禁止法上問題とならない場合が多い」との見解を示した。
今回の見解は、カーボンニュートラルやネイチャーポジティブに関し、企業による自主基準の設定や、共同研究開発、技術提携、標準化活動、共同購入、共同物流、共同生産及びOEM、販売連携、データ共有連携の行為が、競争法上の禁止行為に当たるのではないかという懸念に対するもの。公正取引委員会とは基本的に禁止しない方針を掲げた。
禁止される事項としては、事業者等の取組が、個々の事業者の価格・数量、技術等を制限し、事業者間の公正かつ自由な競争を制限する効果のみを持つ場合とした。
例えば、自己の利益を確保するため、自己の提供する運送業務Aの一部を委託している取引の相手方に対して、バリューチェーン全体において排出される温室効果ガスの削減のために用いるという名目で、取引額に応じた一定の「温室効果ガス削減対策費」を提供させる際に、「温室効果ガス削減対策費」の算出根拠や
具体的な使途を明確にせず、徴収した費用を当該取引の相手方の直接の利益となる活動のために用いない行為は禁止される。
スコープ3の二酸化炭素排出量算出でも、サプライチェーン内の各取引段階における排出量データを集約するプラットフォームを構築し、取引先の排出量データを無償もしくは当該データを提供するに当たって当該取引先において発生するコストに見合った適正な額を下回る対価でリアルタイムで当該プラットフォームに提供するよう取引先に要請する行為も禁止される。
他にも、取引先に低炭素や脱炭素を実現する仕様で発注したにもかかわらず、取引先のコスト増分について明示的に協議することなく、従来製品と同じ取引価格に据え置くことも禁止される。この場合、対価の決定に当たって明示的な協議がポイントとなる。
【参照ページ】(令和5年3月31日)「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」の策定について
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