科学的根拠に基づく環境目標策定イニシアチブScience Based Targets Network(SBTN)の活動がいよいよ本格的に動き出してきた。自然資本(生物多様性)の分野では、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が注目を集めているが、SBTNについてはあまり知られていない。だが、企業や金融機関にとってより大きな意味をなすのがSBTNだ。なぜか。気候変動の分野の状況を類推すれば自ずとその答えは見えてくる。
気候変動の分野では、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)についての体系的な開示ルールを定めている。その上で指標と目標については、スコープ1、2、3の開示が掲げられており、それを司るルールがGHGプロトコルだ。そして設定した目標の妥当性を科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)が評価し、それら全体をCDPが格付している状況だ。
これを自然資本の分野で捉えると、TCFDのように体系的な開示ルールを定める役割を果たしているのがTNFDだ。その中で指標と目標についてはTNFDでは依然議論が続いている。一方、設定した目標について、科学的根拠に基づく妥当性を評価するのはTNFD自身ではなく、気候変動でのSBTiに相当する機関となる。それがSBTNだ。そしてSBTNは、GHGプロトコルに相当するルールをも自らで開発し、科学的根拠に基づく自然資本目標の妥当性評価の基準「SBTs for Nature(自然SBTs)」までを一気通貫で策定しようとしている。今回は、SBTNとは一体何者で、何をしようとしているかをみていこう。
SBTNの体制
Science Based Targets Network(SBTN)は、…
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