金融安定理事会(FSB)は3月30日、2023年の行動プログラムを発表した。2022年に引き続き、金融安定での国際協力、ノンバンク金融仲介(NBFI)、クロスボーダー決済、暗号資産(仮想通貨)を含むデジタルイノベーション、気候変動の各金融リスクへの対策の5つを重点分野と位置づけた。
金融安定での国際協力では、2022年には、世界全体の債務残高が2008年のリーマン・ショック以来最高水準にまで増加したと指摘。バーゼル銀行監督委員会(BCBS)と協力して、グローバルな銀行ストレス テストを開発・実施する。
ノンバンク金融仲介は、2008年以降急成長しており、現在金融資産の約半分を占めるまでになった。FSBとしては、メリットを維持しつつ、レジリエンスを高める。具体的には、隠れたレバレッジの深堀り評価、オープンエンドファンドの流動性ミスマッチへの対処に関するフォローアップ政策作業の実施、市場参加者の証拠金および担保請求に対する流動性準備の強化に関する政策作業を実施等を挙げた。証券監督者国際機構(IOSCO)、BCBS、小国際決済銀行(BIS)の決済・市場インフラ委員会とも連携する。
クロスボーダー決済やデジタルイノベーションでは、昨年の活動を概ね継続する。
気候変動では、国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)やIOSCO等と連携し、一貫した気候関連財務情報開示の実現に向けた作業を実施。さらに、FSBの継続的な脆弱性評価に気候変動リスクを組み込むためのデータ基盤を整備しにいく。気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)と連携し、移行リスクに対する計画の妥当性も評価していく。
その他の分野では、金融機関がITシステムを外部委託先の第三者プロバイダーに頼るようになっていることを受け、サイバー&オペレーション・レジリエンスに関するサイバーインシデント報告に関する報告書を発行する予定。すでにパブリックコメント募集まで終了している。インシデント報告に関する標準フォーマットを作成するとともに、各国の金融当局モニタリングに関する要請事項もまとめる。
【参照ページ】FSB Work Programme for 2023
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