アップルは4月13日、バッテリーに使用するコバルトを2025年までに全て100%再生コバルトに転換する新目標を発表した。同社は2030年までに製品素材を100%再生素材にするサーキュラーエコノミー目標を掲げており、今回の目標設定もその一環。 同社の2022年の再生コバルト使用率は約25%。2021年の13%から大きく向上した。
【参考】【国際】アップル、100%再生素材での製品生産計画が順調に進捗。再エネコミットサプライヤーは213社に(2022年4月29日)
今回の新目標発表では、デバイスに使用する磁石でも2025年までに100%再生レアアース類に転換。プリント回路基板に使用する錫と金も100%再生素材に転換する。2022年の状況では、レアアースの再生素材使用率は73%で、2021年の45%から上昇。錫では2022年の再生素材率が38%だった。
素材の回収では、2019年以降、同社独自開発分解ロボット「Daisy」が、バッテリーから11,000kg以上のコバルトを回収。流通市場に戻した。Daisyは、従来の電子機器リサイクルでは回収できていなかったレアアース類の回収にも成功している。
進捗も報告した。2022年に同社製品に使用される全材料の約20%がリサイクルまたは再生可能な素材に転換済み。同社製品に含まれるアルミニウムの3分の2以上、レアアースの約75%、タングステンの95%以上が、すでに100%再生素材となった。特に、iPhone 14のラインナップでは、磁石のレアアース類、Taptic Engineに使用されているタングステン、プリント回路基板の錫や金メッキは、全て再生素材で製造されている。
同社は素材のサーキュラーエコノミー化において、環境及び人権、サプライチェーンへの影響の観点から、アルミニウム、コバルト、銅、ガラス、金、リチウム、紙、プラスチック、レアアース、スチール、タンタル、スズ、タングステン、亜鉛の14種類を優先素材に指定。これらで全材料の約90%を占める。同時に、パッケージからの脱プラスチックも進めており、すでに96%を削減済み。残りの4%を占めているラベルやラミネーション等では、転換するためのイノベーション開発に着手している。
サーキュラーエコノミー化することによる資源採掘コミュニティへの影響対策では、採掘に依存して生計を立てているコミュニティを直接支援する方法を追求。Fund for Global Human Rights(グローバル人権基金)等の専門家と提携し、アフリカ大湖地域等で、採掘作業から他の職業に転換するためのスキル開発プログラムも展開中。
引き続き発生しているバージン材の調達では、サステナビリティ調達基準を設定して運用している。すでにサプライヤーリストの公表も始めており、コバルトは2016年、リチウムは2020年に全精製業者リストが公開された。2015年以降、錫、タングステン、タンタル、金のいわゆる紛争鉱物3TGでは、製錬所と精製業者が独立第三者監査を受けている。
【参照ページ】Apple will use 100 percent recycled cobalt in batteries by 2025
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