アパレル大手米GAPは3月22日、新たなウォーター・スチュワードシップ目標と戦略を発表した。サプライチェーン全体の水消費量削減や水・衛生(WASH)で野心的な定量目標を設定した。
同社は2020年3月、2050年までに事業での水資源インパクトをポジティブにすることをコミットするイニシアチブ「Water Resilience Coalition」に発足メンバーとして加盟。今回設定の目標は、同イニシアチブの長期目標に対する重要なマイルストーンとなる。
【参考】【国際】食品・アパレル等世界大手7社、Water Resilience Coalition発足。2050年水資源ポジティブ (2020年3月25日)
今回発表した戦略では、「アクセス」「削減」「還元」の3分野で目標を設定した。
まず、アクセスでは、2030年までにアパレル業界のサプライチェーンや周辺コミュニティでWASHへのアクセスを500万人規模で改善。特に水レジリエンスと女性のエンパワーメントを重視する。同社は2017年から、米国際開発庁(USAID)との共同イニシアチブ「Women + Water Alliance」を実行しており、これまでにインドで240万人のWASHアクセス改善を達成。同プログラムは2023年に完了するが、後続としてWater Resilience Coalitionと協働し新たなプログラム「Women + Water Collaborative」を開始。水不足地域コミュニティへのインパクト拡大を加速する。
【参考】【インド】GAP、200万人の水・衛生アクセス改善目標を達成。USAIDやウォーターエイド等と協働(2022年9月10日)
削減では、2030年までにサプライヤーとの協働や施設での水消費効率改善を強化。世界自然保護基金(WWF)のデータベース「水リスク・フィルター」を活用し、優先地域からアクションを展開する。
具体的には、アパレル・インパクト研究所(AII)と協働し、水使用効率の改善、有害化学物質の削減、責任ある廃水管理、衣類の仕上げ工程での水使用量を20%削減できる技術「Washwell」の利用拡大等を進める。2023年には、インドのサプライヤーArvindと共同発足するウォーター・イノベーション・センターを通じ、アパレル業界全体の水管理の改善も支援する。
還元では、2030年までに使用量と同量の水を自然界に還元するため、生態系保全、生物多様性、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を重点とするコミュニティ水利用支援等のプロジェクトや、農家向けの水マネジメント研修等を実施。バリューチェーンの気候変動リスクも軽減する。また国際環境NGO世界資源研究所(WRI)が策定したガイドライン「容積測定水ベネフィット会計(VWBA)」等を活用し、インパクト評価も行う。
【参照ページ】Gap Inc. Announces New Water Stewardship Goals & Strategy
【画像】Gap
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