日本政府は4月4日、内閣官房に設置されている再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議を開催。「GX実現に向けた基本方針」を踏まえた再生可能エネルギーの導入拡大に向けた関係府省庁連携アクションプランの策定とともに、水素基本戦略を改訂する方針を示した。
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同会議は、総務相、外相、文部科学相、農林水産相、経済産業相、国土交通相、環境相、経済再生担当相、内閣府特命担当相(経済財政政策)、内閣府特命担当相(科学技術政策)、内閣府特命担当相(海洋政策)、内閣官房長官で構成。今回の会合では、岸田文雄首相も出席した。
今回の会合では、2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針(GX基本方針)」に基づき、再生可能エネルギーの導入促進に向けたアクションを加速することを確認。アクションプランが提示された。イノベーションの加速では、ペロブスカイト太陽電池と浮体式洋上風力の2つを挙げた。
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ペロブスカイト太陽電池に関しては、「2030年を待たずに早期の社会実装を目指し、量産技術の確立、需要の創出、生産体制整備を三位一体で進めていく」と表現。また、導入分野としては、公共施設、ビルなどの建築物の壁面、工場、倉庫、学校施設などの耐荷重性の低い建築物の屋根、空港の駐車場、鉄道の法面などの公共インフラといった様々な分野」と言及した。
浮体式洋上風力に関しては、「2023年夏を目途に洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会を開催し、今後EEZ(排他的経済水域)への拡大も念頭に、産業戦略及び導入目標を2023年度内に策定する」とした。アジア展開も見据え、2023年度には大型実証に向けた海域・事業者選定を実施する。
再生可能エネルギーの導入では、第6次エネルギー基本計画で掲げる2030年の再生可能エネルギー電源目標を達成するため、太陽光発電では、事業所や公共施設、空港等での屋根上太陽光発電の設置を促進。2030年に現在の約2倍となる14%から16%程度の導入を目指す。太陽光発電のリサイクルも2023年度内に在り方を決める。風力発電は、洋上風力の導入拡大に向け、港湾等の環境整備や排他的経済水域(EEZ)の国内法制度の検討を行う。バイオマス発電は、低コスト化を柱とし、2030年までは火力発電と比較して50%減、2030年度以降は70%減を目安目標として示した。地熱発電では、有望地点の特定、初期調査支援等の実施から始めるとし、まだまだ時間がかかる。
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他に、定置用蓄電池についても、2023年夏を目途に2030年までの導入見通しを策定。電気自動車や家庭用蓄電池等が需給調整市場に参加できる仕組みを早期に構築し、2026年度までの開始を目指す。2023年度に導入予定の長期脱炭素電源オークションでも、揚水発電や蓄電池等の脱炭素型調整力を確保する。北海道から本州への海底直流送電は、2023年度中にルートやファイナンス計画等を固めたい考え。
GX基本方針でも掲げたデマンドレスポンス(DR)では、現行の2.3GW級の調整力を、年間0.5GW程度積む。高度なDRの報告・評価方法を2023年度中に具体化する。
また、水素基本戦略の改定では、アンモニアも含めた形で、5月末を目途に取りまとめ、制度設計の具体化を図るとした。2030年の国内外における日本企業関連の水電解装置の導入目標15GW、2040年における水素・アンモニアの野心的な導入量目標を1,200万tとした。「クリーン水素」の世界基準を日本がリードして策定し、クリーン水素への移行を明確化する意気込みもみせた。具体的には、水素の製造源やライフサイクル全体ではなく、水素製造時のみの炭素集約度(排出係数)のみで評価する基準を希求するというが、国際的な理解は得られそうにないだろう。
【参照ページ】再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議(第3回)
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