証券監督者国際機構(IOSCO)は3月28日、サステナビリティ報告の第三者保証に関し、監査法人及び公認会計士の国際団体である国際会計士連盟(IFAC)に設置された国際監査・保証基準審議会(IAASB)と国際会計士倫理基準審議会(IESBA)が双方で進めている基準策定の最新状況をまとめた報告書を発表した。
【参考】【国際】IOSCO、IAASBとIESBAにサステナビリティ報告保証で堅固な基準策定を要請(2022年9月18日)
国際監査・保証基準審議会(IAASB)は現在、サステナビリティ報告の第三者保証の業務や品質向上に向けた需要の高まりを受け、国際保証業務基準3000(ISAE 3000)等の改訂や、サステナビリティ報告の各項目に焦点を当てた個別保証基準の策定を進めている。同じく国際会計士倫理基準審議会(IESBA)も6月、サステナビリティ報告の第三者保証に関し、倫理基準を策定する作業を進めている。双方の基準とも、監査法人だけでなく、非監査法人の保証機関にも適用されるものとなる見通し。
双方の今後スケジュールでは、IAASBは2023年9月、IESBAは2023年12月に案を発表し、2024年後半までに基準策定を完了する予定。公式的なルールへの採用は、それ以降になるが、IOSCOは、監査法人やそれ以外の第三者保証期間は、先んじて内容をキャッチアップし、内容に慣れておくべきという考えを示した。
またIOSCOは、双方の審議会に対し、投資家需要に十分応えるよう要請した。IOSCOは、投資家需要に合致していると判断できる場合、各加盟国の金融当局に対し、法域での任意または強制での採用を促していく考え。
サステナビリティ報告書を「合理的保証」と「限定的保証」のどちらの対象とするかについては、現時点でサステナビリティ関連情報の保証を求める企業の多くは、合理的保証ではなく限定的保証を求めるケースが一般的と評価。一方、投資家からの需要は、特に二酸化炭素排出量に関連するような指標では、長期的には合理的保証を希求しているとコメント。最終的には合理的保証にまで進むべきとの考えを示唆した。
主要国の法規制では、EUで始まる企業サステナビリティ報告指令(CSRD)では、欧州委員会が2026年10月1日までに限定的保証の基準を採択し、2028年10月1日までに合理的保証の基準を策定する計画。米国でも、証券取引委員会(SEC)は、スコープ1および2の開示は、大企業には2024年度の報告から限定的保証を要求し、2025年度の報告から特定の中小企業にも適用することを提案中。合理的保証は、大企業は2026年度から、特定の中小企業は2027年度の報告からとしているが、詳細はまだ未定。英国、香港、シンガポールでは、将来的には独立保証を盛り込む考えだが、まだ詳細は未定。
【参照ページ】IOSCO sets out key considerations to promote an effective global assurance framework for sustainability-related corporate reporting
【参照ページ】Report on International Work to Develop a Global Assurance Framework for Sustainability-related Corporate Reporting
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