持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は3月23日、国連水会議2023で、廃水影響評価ツール(WIAT)とガイダンスを発表した。
WBCSDは2020年9月、企業向けに「廃水ゼロ」を提唱。世界の廃水の80%は処理されずに、環境中に放出されていることから、淡水の生物多様性、気候変動、水の安全保障に悪影響を及ぼすと警鐘。企業に対し、すべての産業排水の処理、水の再利用とリサイクルの増加、低炭素な処理プロセスを促している。
また、WBCSDは2021年6月、CDP、国連人間居住計画(UN-HABITAT)とともに、「廃水ゼロ・コミットメント」を企業に促すことも発表。企業へのエンゲージメントを通じて、2030年までに廃水汚染をなくすための枠組みを提供している。2022年4月には、廃水対策アクションの先進企業として、アパレル世界大手スウェーデンH&M、化学世界大手印UPL、エネルギー世界大手米シェブロンを発表し、2023年2月には廃水ゼロ達成に向けた行動フレームワークの最新ガイダンスを発表していた。
【参考】【国際】WBCSD、廃水ゼロ目標設定で最新ガイダンス発行。CDPウォーターへの回答を(2023年2月18日)
WBCSDは、廃水汚染に対する企業の行動を支援するため、今回WIATを開発。廃水ゼロを実現するには、データ駆動形で進める必要があり、政府や自治体の廃水施設と企業が強固で一貫した実用的なデータに基づいた意思決定をすることが重要となるとした。
今回の発表では、WIATの初版を公開。同ツールを活用することで施設の廃水処理が周辺地域の水質、水の利用可能性、二酸化炭素排出量に与える影響を把握することが可能。利用は無料。将来の第2版では各ステークホルダーの責任分担を評価するアプローチも盛り込む予定。
「企業のための廃水影響ガイダンス」では、気候変動、生物多様性、水の安全保障に関する廃水の影響を測定するため、WIATと組み合わせて活用できるな手法を紹介。SBTN(自然のための科学的根拠に基づく目標)の淡水ガイダンスや自然資本連合(NCC)が策定した自然資本プロトコル(NCP)等の他のフレームワークとの整合性を図り、「インパクト・ドライバーの測定」「自然資本の状態変化の測定」「影響の定量化と評価」「目標設定」「影響の管理」の5つのステップを設定した。
また、企業の水質に関するアクションを支援するため、「廃水ゼロ・コミットメント」のWatershed Quality Promotersグループも創設。WIATやガイダンスのアップデート作業を続けていく。
【参照ページ】Corporate action as a catalyst for water quality watersheds
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