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【国際】国連水会議2023、SDGs目標6「水・衛生」で新たな活動開始。イノベーション重要

 国連は3月22日から24日、「国連水会議2023」を開催。国連水会議は1977年に開催されており、今回46年ぶりの開催となった。オランダとタジキスタンが議長国を務めた。

 水・衛生分野は、関連テーマが多岐に渡るため、国連でも専門機関がなく、複数の機関が担当している。2003年には関連する国連機関がメンバーとなる形で、集合体「UN-Water」が発足。現在も「委員会」組織のような形態で水分野の国際政策が進められている。水・衛生では、国連総会の場で、2002年に「安全な水へのアクセス」が人権に指定、2010年には「ディーセントなトイレへのアクセス」が人権に指定されており、人権とも密接な分野となっている。

 国連水会議2023に向けては、各国政府、企業、NGO等から500以上の自主コミットメントがあり、「水行動アジェンダ」としてまとめられた。最近、国連の会議では、このように事前に各ステークホルダーからの自主コミットメントを募るやり方が一般的となっている。企業の例では、米IBMが、クラウドやAIを活用した政府・NGO支援プログラム「IBMサステナビリティ・アクセラレーター」で、新たに水マネジメントを対象とした支援先募集を開始したことが代表的。同プログラムでは、安全な飲料水へのアクセス、水質汚染削減、水消費効率の改善、水不足の影響を受ける人数減少、水関連の生態系保護等でインパクト追求していく。

 同会議に先駆けて、国連教育科学文化機関(UNESCO)は3月15日、「国連世界水開発報告書2023」を発行。国際行動の10年「持続可能な開発のための水2018-2028」の中間レビューも実施した現状報告を行った。水使用量は、過去40年間、世界全体で年間約1%ずつ増加しており、人口増加、社会経済発展、消費パターンの変化などが重なり、2050年まで同様の割合で増加すると予測。増加は、中低所得国、特に新興国に集中しており、気候変動影響も踏まえ、水ストレスが悪化しているとした。現在世界人口の10%が水ストレスが高いあるいは危機的な状況にある国に住んでいる。自然災害も90%以上が水に関連している。

 国連持続可能な開発目標(SDGs)との関係では、目標6「水・衛生」は全く達成ペースになく、安全な飲料水にアクセスできない人が世界人口の26%(20億人)、安全なトイレにアクセスできない人が46%の36億人いると推計。一方、水消費効率は改善しており、産業部門で15%増、給水・衛生サービスと農業は8%増で全体では9%増だった。イノベーションやファイナンスの重要性も強調された。

 世界の淡水使用量の72%は農業に関しては、国連食糧農業機関(FAO)が3月23日、声明を発表。気候変動による異常気象が進む中、旱魃の頻度と深刻度の上昇に対処する、革新的な旱魃資金メカニズムを呼びかけた。特に、民間セクターの参加を増やすとともに、投資行動が現在の需要を反映し、トレンドを予見できるように、グローバルなナレッジ基盤を強化することが重要とした。FAOは、国別の水ロードマップ「ナショナル・ウォーター・ロードマップ」の策定が鍵とし、今後各国政府での策定を支援することも表明した。

 またFAOは3月21日、ドイツ政府が2,500万ユーロ(約35億円)を拠出し、エチオピア、ケニア、ソマリア、スーダンの4カ国で旱魃の影響を受けたコミュニティを支援する政策を発表したことを歓迎している。現在東アフリカ地域は深刻な旱魃被害を受けている。

 国際原子力機関(IAEA)も3月23日、自然に発生する安定した放射性同位体技術を使用して、地表水と地下水の年齢と起源、および大気の水循環内のプロセスを評価する同位体水文学の知見を活かし、世界水質分析研究所(GloWAL)ネットワークを発足したと発表。アフリカ、中南米、アジア太平洋、中央アジアの4地にある地域サブネットワークで先進国と途上国のパートナーシップを奨励。研究と対策を加速させる。

 水源保護では、国連環境計画(UNEP)も同日、コロンビア、コンゴ民主共和国、エクアドル、ガボン、メキシコ、ザンビアの各政府の呼びかけで「淡水チャレンジ」発足。2030年までに地球7周分以上に相当する30万kmの河川と、インド面積よりも広い3億5,000万haの湿地帯を回復する国際目標を掲げた。各国政府およびパートナーが、先住民や地域コミュニティ、その他のステークホルダーとともに、淡水ソリューションを共同創造していく。

 企業では3月22日、国連グローバル・コンパクト(UNGC)のイニシアチブ「CEOウォーター・マンデート」を中心に世界大手50社以上が水・衛星でのアクション拡大を宣言するイニシアチブ「Business Leaders’ Open Call for Accelerating Water Action」を発足。自社及びサプライヤーが関わる周辺コミュニティで水アクセスや水質を改善し、2030年までに脆弱性の高い流域100以上でネットポジティブを実現するコレクティブ・インパクトに協力することを宣言。インパクト目標として、30億人の水安全保障への貢献、水・衛生へのアクセス3億人以上を掲げた。

 同イニシアチブに参画してのは、コカ・コーラ・カンパニー、コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズ、スターバックス、ABインベブ、ハイネケン、ディアジオ、ダノン、GAP、インディテックス、インター・イケア・グループ(IKEA)、カミンズ、ジョンソン・マッセイ、コルゲート・パーモリーブ、バイエル、ダウ、デュポン、ジボダン、ブラスケム、レキット・ベンキーザー、カーギル、グラクソ・スミスクライン(GSK)、アストラゼネカ、エンジー、ヴェオリア、ザイレム、MGMリゾーツ・インターナショナル、マイクロソフト、マヒンドラ・グループ、HCLテクノロジーズ、エコラボ等。日本企業はゼロだった。

【参考】【国際】国連グローバルコンパクトのCEO Water Mandate、水資源管理に関する新ガイドを公表(2015年9月11日)

【参照ページ】UN calls for game-changing action to stem global water crisis
【参照ページ】IBM Launches RFP to Help Accelerate Global Water Management Solutions for Vulnerable Populations
【参照ページ】UN World Water Development Report 2023
【参照ページ】UN 2023 Water Conference: FAO calls for responsive and innovative drought financing mechanisms
【参照ページ】Eastern Africa drought: FAO welcomes a €25 million contribution from Germany to improve access to food and boost rural livelihoods in Ethiopia, Kenya, Somalia and the Sudan
【参照ページ】IAEA Launches Global Network to Improve Management of Water Resources
【参照ページ】Largest river and wetland restoration initiative in history launched at UN Water Conference
【参照ページ】More than 50 leading global companies unite to make unprecedented collective commitment to SDG 6, call upon other companies to join “Open Call for Water Action” during historic UN 2023 Water Conference

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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