日本化学工業協会(日化協)は3月17日、「化学産業における製品のカーボンフットプリント算定ガイドライン」を作成した。国際規格に準拠し、独自の規格を開発した。化学業界にカーボンフットプリント(CFP)の算出を促す考え。
今回のガイドラインは、ライフサイクルアセスメント(LCA)、CFPの国際規格であるISO14040:2006, ISO14044:2006, ISO14067:2018, GHGプロトコルのProduct Life Cycle Accounting and Reporting Standard(2011)に準拠。また、2022年9月に発行されたTogether for Sustainability (TfS)の「The Product Carbon Footprint Guideline for the Chemical Industry -Specifications for suppliers’ product carbon footprint calculation Version 1.0」(TfSガイドライン)とも可能な限り整合性を図った。
日化協は同日、化学業界のカーボンニュートラル目標を改定。2030年度目標を従来の2013年度比10.7%減から32%減へと大幅に引上げ、総量目標に一本化。BAU比で設定していた原単位目標は廃止した。
それと呼応するように、ENEOSホールディングス傘下のENEOSは3月17日、同社の石油製品の製品別のカーボンフットプリント(CFP)算定および組織単位での二酸化炭素排出量管理システムの構築に向けた共同検討を開始したと発表した。ウェイストボックス及びNTTデータが協働する。
ENEOSとウェイストボックスは、経済産業省と環境省が策定したCFPガイドライン案や、ISO規格等に準拠したCFP算定ロジックに検討に2023年1月に着手。誘導体製品への二酸化炭素排出量の配賦方法や、半製品のリサイクルに対する考え方等を検討。製油所の実データを用いた算出は、国内石油業界初となる。
それを基に、ENEOSとNTTデータはシステムを構築。製品単位CFPと組織単位排出量を一体的に算出できるシステムを目指す。それにより製品単位では、「製品単位での炭素情報の統一的な把握・管理」「製造における低炭素化の取り組みのCFPへの影響分析や新製品企画段階におけるCFPの見える化」「低炭素製品の環境価値の訴求によるビジネス機会の創出」の3つを狙う。2023年度中の顧客へのデータ提供開始を計画している。
製品単位のカーボンフットプリント算出では、独BASFが2020年7月、TfSに基づき、世界で初めて同社全製品約45,000品目で製品カーボンフットプリントを算出し、顧客への開示を開始。日本では2022年頃から動きが広がり、住友化学が独自にカーボンフットプリント算出ツールを開発し、データの提供を開始。同社は算出ツール「CFP-TOMO」を他社へ無償提供することも決めた。旭化成もNTTデータと協働し、一部の製品から算出を始め、4月から対象を大幅に拡大する。三菱ケミカルホールディングスも算出体制の構築を急いでいる。
【参考】【ドイツ】BASF、45000全製品のカーボンフットプリント算出。顧客提供開始。世界初(2020年8月14日)
【参照ページ】「化学産業における製品のカーボンフットプリント算定ガイドライン」作成について
【参照ページ】「カーボンニュートラル行動計画」 CO2排出削減量目標の見直しについて
【参照ページ】国内石油業界初 製品別CFP算定・組織単位でのGHG排出量管理システム構築の共同検討を開始
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