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【EU】欧州委、電力市場改革を提案。PPAやデマンドレスポンス促進。再エネ強化で電気料金引下げ

 欧州委員会は3月14日、電力市場を改革する政策を発表した。再生可能エネルギーを増加し、ガスを段階的に消費するスピードを加速する。これにより、EUの経済競争力を強化する。今後、EU理事会と欧州議会との調整に入る。

 今回の改革の問題意識は、EUで再生可能エネルギーが電力需要の3分の1以上をカバーしているにもかかわらず、ウクライナ戦争後のガス価格高騰により、電気料金が大きく引き上がったという点にある。EUは2030年までに再生可能エネルギーを3倍にする必要があるとみており、再生可能エネルギー導入量をさらに引上げ、電気料金を低く安定できるようにする。

 今回の改革案では、EU電力規則、EU電力指令、卸売エネルギー市場の健全性と透明性に関する規則(REMIT)の改正を提案。非化石発電との長期契約にインセンティブを与え、デマンドレスポンスや蓄電等のソリューションを柔軟に導入できる制度を導入する。また、化石燃料の高騰によって引き起こされた電気料金の脆弱性を軽減するとともに、再生可能エネルギーのコスト低下が、電力価格全体の低下にさらに寄与できるようにする。
 
 消費者向けの措置では、まず、価格差を利用し安いときに電気を使うダイナミックプライシング契約を新たに許可。電気自動車の充電やヒートポンプの使用等により、電気料金を個人の工夫で引下げられる選択肢を増やす。また小売電力事業者の契約締結前の情報提供も強化する。さらに、小売電力事業者に固定価格契約に基づく範囲内で価格リスクを管理するよう要請。それを補完するため、EU加盟国には、非常時に電力を供給する最後の砦を定めることを義務化する。

 他にも、消費者は、屋上の太陽光発電や風力発電で発電した電気を、電力会社だけでなく近隣住民に売ることができるようにする。

 次に、弱者保護のため、電気料金を滞納している消費者の電気を止めることを禁止。その上で、EU加盟国は非常時に、家庭や中小企業に対しては電気料金に関する上限を設けることができるようにする。

 系統に関しては、欧州委員会は同日、別途、EU加盟国向けに蓄電のイノベーション、スキル、能力の向上に関する勧告を発表。蓄電をフル活用できるようにすることで、デマンドレスポンスを機能させ、ピーク電力時の需要減につなげる。系統運用者には、系統の混雑状況について透明性を確保する義務や、取引期限をさらにリアルタイムに近づける義務等も課す。

 企業需要家向けの措置では、価格変動を抑制するため、電力購入契約(PPA)を重視。EU加盟国に対し、PPA市場を構築し、需要家が市場型のPPAにアクセスできるにすることを義務化する。インフラマージナルでマストランの再生可能エネルギー電源及び非化石電源に対する公的支援は、差金決済契約(CfD)のみを認め、EU加盟国は超過収益を消費者に還元することも義務付ける。

 さらに、卸売エネルギー市場の健全性と透明性に関する規則(REMIT)を改正し、エネルギー規制当局協力機構(ACER)と各国の規制当局の監督権限も強化する。

【参照ページ】Commission proposes reform of the EU electricity market design to boost renewables, better protect consumers and enhance industrial competitiveness

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