EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は3月7日、グリーンとデジタルに関する学習機会を支援する新政策「European Year of Skills」で政治的合意に達したと発表した。今後、EU理事会と欧州議会での立法手続きに入る。
今回の発表は、EUの2030年までの社会的目標と「デジタルの10年」の達成を支援するためのもの。2024年5月まで既存の制度やイニシアチブの取り組みを支援する。EUは2030年までの社会的目標として、成人の78%が雇用されていること、60%以上が毎年スキルアップの学習を行っていることを目標として設定済。また、「デジタルの10年」では、人口の80%が基本的なデジタルスキルを持ち、2,000万人のICTスペシャリストを確保するという目標を掲げている。
【参考】【EU】EU理事会、2030年までの「デジタルの10年」政策を採択。2030年2000万人(2022年12月22日)
【参考】【EU】「デジタルの権利と原則に関する欧州宣言」発表。デジタル政策の大方針(2022年12月30日)
今回の発表では、「トレーニングとスキルアップへの投資を促進し適切な雇用を見つけることができるようにする」「ソーシャルパートナーや企業と協力し、雇用者のニーズにあったスキルを確保する」「グリーンとデジタルへの移行と経済回復のために市場と労働者のスキルセットを合致させる」「必要なスキルを持つ人材をEU域外から呼び込む」という4つの目標を掲げた。
具体的な支援として、
- 若者へのトレーニングと雇用を支援するために、「研修制度のための欧州品質枠組」の更新
- EU域外の熟練したスキルを持つ人材とEU内の雇用のマッチングの促進
- 海外からの留学や就労を促進するための新しいイニシアチブの設立
- 学習機会創出政策を見直し、就労を支援する新しいイニシアチブの設立と法整備
- EU域内人材のスキル開発戦略「Pact for Skills」における官民学のパートナーシップの強化
- グリーンディール産業計画で発表されたスキル向上とリスキル・プログラムを展開するための「ネットゼロ産業アカデミー」の展開
- サイバー人材不足の解消に向けた「サイバー技術アカデミー」の設立
- 研究職向けの労働条件の改善やスキル向上、認知促進等を目指す新たな枠組みの導入
- 2025年までにディープテック分野の学生や専門家を100万人育成するプロジェクトの推進
- 学習や教育の意義や必要性を訴えるイベント、関連するプロジェクトやイニシアチブを表彰する様々なイベントの開催
【参考】【EU】欧州委、人材スキル開発戦略発表。自動車、マイクロエレ、航空防衛で1.3兆円のスキル向上予算(2020年12月3日)
【参考】【EU】欧州委、「グリーンディール産業計画」発表。投資拡大で新たな政策確立へ(2023年2月2日)
【参照ページ】Commission welcomes political agreement on the European Year of Skills
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら